企画を立てる段階で、他館と企画が重ならないか、全国規模で聞きまわった上で立案します。しかし、情報収集には限度があり、似たような企画が他館で立てられていることはしばしばあります。それも、具体的な作品調査を始めた段階で初めて、この作品は○○美術館も調査に来た、とわかることが多いのですが、このような場合でも出品作品すべてが重なるということはありません。
こうした場合、互いに重要で欠かせない作品と、譲り合える作品とがあります。欠かせない作品が重なったときは、原則的には早い者勝ちです。ただ、互いの陳列期間を短縮して両会場に出品する手段も取られます。
原則的に早い者勝ちという暗黙の了解のためか、出品依頼の書類を一年前に出してくるところもあります。こうなると単年度予算で運営している公立館では、うっかりすると自館での常設展示計画を立てる前に借用願書が提出され、自館で作品が陳列できなくなるという事態も発生します。
もちろん、貸し出す側は、企画内容と出品の必然性を精査して、早く出された願書でも貸し出しを拒むこともあります。また、館同士の長年のつき合いの度合いによって優先順位が異なることもあり、作品を借用できるか否かは所蔵館の胸ひとつです。
(ガイド 板橋区立美術館学芸係長 安村敏信)