学芸員は本来美術館の裏方なので、来館者の目には見えない存在です。近年はギャラリー・トークや講座に学芸員が登場し、どうも勉強しているやつらのようだと思われるようになりました。企画展を計画するには美術史の専門知識が必要なので、普段からの研究が大切なのは当然です。
企画展を受け持つと、作品調査、出品交渉、撮影、借用などで出張が増え、私の場合、2週間くらい館を空けることも。出張先ではアンテナを伸ばして、他の美術情報も収集、将来の企画展に備えます。普通の会社の総務部門のような仕事も手がけます。ポスターなどの印刷物のデザインを専門業者と打ち合わせたり、作品借用・返却の運送計画作成や作品にかける保険料の算定をしたりします。
文章力も必要です。図録や会場の解説パネルなどを執筆。美術雑誌からの依頼を受けることもあり、様々な原稿を書かなくてはなりません。展覧会が始まると、作品に関する問い合わせや鑑定相談が舞い込みますし、取材も入ります。
このように様々な仕事に追われます。しかし、企画展は、自分の見たい作品を集め、一堂に展示できる喜びがあります。時には、最初は気がつかなかった「発見」も。それを、来館者が感じて反響があった時が、学芸員の仕事の醍醐味(だいごみ)と言えるでしょう。
(ガイド 板橋区立美術館学芸係長 安村敏信)