大規模な企画展は経費がかさむので、数館を巡回させ、その分各館の負担を軽くしようとして巡回展という形式が生まれました。
東京立ち上がりの展覧会を例にとると、まず東京会場は作品収容のスペースと経費負担の予算を持っていることが条件となります。ついで同等の展示室と予算を持つ地方館を探しますが、三カ所巡回とすると中部地方・関西地区で各1館が普通です。近年は地方の小・中規模都市にも立派な美術館が出来たので、これらを巡回するやや小振りの企画展も計画され、全国で名画が見られるようになりました。
もちろん、これらの巡回には展示面積と予算だけではなく、学芸員が企画展の内容に対応出来なければなりません。多くの場合、巡回館の学芸員が出品交渉を分担したり、カタログ論文を執筆したりします。
最近では各館の学芸員同士が交流し、共通のテーマを見い出して、共同企画を立ち上げ巡回する展覧会も見られるようになりました。巡回展は比較的マスコミなどの主導型でしたが、学芸員側からの企画は喜ばしい限りです。
こうした巡回の実現には、数年先の年間計画調整や分担経費の支出など、様々な困難が生じますが、各館の事務方と学芸員が協力し合うことが必要不可欠です。
(ガイド 板橋区立美術館学芸係長 安村敏信)