美術館で作品の写真撮影を禁止するのは、第一に著作権保護のためです。著作権は作家没後50年間は保護されます。そう考えると、戦前までに亡くなった作家の著作権は切れているので許可してもよいのでは?と思われます。私も賛成ですが、多くの美術館で禁止しているのにはほかの理由がありそうです。
その理由とは、撮影した画像を勝手に使われることを嫌うためでしょう。自分の館の作品が連絡もなく雑誌や本に掲載されたり、絵はがきやリーフレットの商品に使用されていたりすると決して愉快ではありません。使用は事前申請が原則です。
最近では、館蔵品の写真をインターネット上に公開すると無断で様々な用途に転用されるという問題も生じてきています。
考え方は様々ですが、私の館では館蔵品の古美術に関しては、どんどん記念写真を撮ってくださいと勧めています。美術館に来た思い出になればよいし、それを他人に見せることは作品の普及になるとの考えです。ストロボ撮影はほかの観覧者の迷惑になるので禁止。美術館は作品の所有権を持っていれば十分で、肖像権は放棄してよいと思います。昨年、歌手のプロモーションビデオに、当館の狩野派の屏風(びょうぶ)などの日本画を映像処理して使いましたが、面白かったですよ。
(ガイド 板橋区立美術館学芸係長 安村敏信)