美術館で絵を購入するとき、価格が妥当かどうかは、まず他館で同じ作家のものをいくらで買ったかを調べます。しかし、5年前と10年前では相場が変わっているので、あくまでも参考価格となります。次に価格評価委員会を招集し、作品の値段を入れてもらいます。委員にはその作品を扱っている画商や学芸員を任命します。最高・最低額を省き、平均を出した値段が購入妥当額となります。多くの公立館では、この方式で価格を決め、時には値引き交渉をします。
過去に流通したことがない作家の場合、初めて購入する美術館の買値が、次回からの基準となります。二十数年前に当館が買い始めた江戸狩野派や1930年代の前衛作家作品は、当館の値段が基準となった例でしょう。
現存作家の場合、多くは亡くなると値は下がることが多いのですが、数十年後に再評価されて値上がりする画家もいます。
このように、絵には流行があり、人気の出る作家物は高くなります。古美術でも、伊藤若冲(じゃくちゅう)、歌川国芳といった奇想派が近年高値となり、安かった狩野派まで購入館の増加によりけた違いに値上がりしました。値が上がると面白い作品が発掘されるのでうれしいですが、買う方には迷惑です。
(ガイド 板橋区立美術館学芸係長 安村敏信)