作家やコレクターが亡くなった時、生前ゆかりの美術館に作品が寄贈されることがあります。これは相続税対策というより、まとまった作品が散逸しないために行われます。
遺族にとっては故人のまとまった作品が永久収蔵され、子々孫々に語り継げるメリットがあり、美術館としては長期にわたる収集活動でしか得られないコレクションを一挙に入手できる好機です。
もちろん、美術館としては何でも寄贈を受けるのではなく、その館の収蔵方針に沿ったものに限ります。また、寄託といって美術館が陳列に自由に使うことを条件に作品を預かる制度もあります。この場合も常設展などで使える質の高い作品に限られます。この寄贈や寄託は、購入費を補う重要な制度です。
寄贈された作品は機会あるごとに陳列に活用され、キャプションに寄贈者名を刻んで顕彰するのが一般的で、欧米では寄贈者一覧を美術館の壁面に表示したりします。最近では東京国立博物館がようやくこうしたコーナーをつくりました。
作品が増えても原則として収蔵品は自館の収蔵庫に収めますが、収蔵庫がいっぱいになった時やビル型美術館では収蔵庫を別に借りる場合もあります。温度や湿度管理のしっかりした倉庫はそれなりに高額ですが、作品管理は美術館の責任です。
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(ガイド 板橋区立美術館学芸係長 安村敏信)