誇りと愛情感じる石畳
通りから入ってすぐの所に、日本最古の学校と言われる足利学校がある。ここを地元の人は親しみを込めて「学校様」と呼ぶ。そして大日如来をまつる鑁阿寺は「大日様」だ。いずれも国指定の史跡でありながら、人々の集う場所であり、子供の遊び場だった。
1903年には学校様の敷地内に図書館ができた。「私が子供の頃には市内唯一の図書館だったから、毎日のように行って、木の下で本を読んだ」と近くに住む岡村賢治さん(75)は懐かしそうに振り返る。
「学校様」の流れを受け継ぐ試みも続く。通り沿いの店には、論語を解説付きで紹介するポスターが毎月張られる。足利学校にまつられる孔子の教えを現代に伝えようと、足利を愛する市民の会「いしだたみの会」が作るものだ。
学校には、読めない字や意味のわからない言葉などを紙に書いて枝に結んでおくと、ふりがなや注釈が付けられていたと伝わる字降(かなふり)松がある。今、松の横にはポストが設置され、さまざまな疑問を受け付け、職員が郵送で答えているそうだ。
通りを歩くと、そこかしこに置かれている赤や青のカラフルな石に目がとまる。店の前にあったり、植木や建物の陰からのぞいていたり。
猫や金魚など、鮮やかにペイントされた石は、甘味どころ「あまから家」のご主人田村源次郎さん(55)が中心になって作っている「石絵」。石に、アクリル絵の具で動物などの絵を描く。
「石畳は、足元を見ながら歩く人が多い。そんなとき、ペンギンや犬がいたら楽しいかな、と思って」
時間を見つけては店の前に座り、通りを行き交う人たちを見守りながら筆を走らせる。その様子を真剣に眺めていた小学生に、田村さんは魚を描いた石を手渡した。「赤い魚は、女の子のお守りだよ」。この石を見て足利を思い出し、またこの通りに足を運んでくれたら、こんなにうれしいことはない、そう言ってほほ笑んだ。
(中嶋麻喜)