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題字・イラスト 井沢洋二
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「日焼けしてますね」
テレビ局でメークさんに言われるのは、昔は、羨望(せんぼう)のこもった褒め言葉。今は、日焼けに気をつけなさいという戒めの言葉。日焼けがすっかり悪者になってしまったのは、いつからだろうか。
子供の頃に見た『おそ松くん』にも『オバケのQ太郎』にも、必ず%焼け大会の巻があった。
「帽子被(かぶ)って行きなさいよ」「やだよ」と家を飛び出して真っ黒に日焼けするのが、元気な子供の証しだった。
<iツコの夏の小野みゆきさんも、<Nッキーフェイスの夏目雅子さんも、ばっと身に纏(まと)ったストールを投げ捨てた肢体は鮮やかな小麦色に日焼けしていて、つぶらな瞳が焼けた素肌にキラリと光っていた。まるで獲物を狙うヒョウのようなその姿に青少年は胸をときめかした。小麦色の肌こそ、青少年の憧(あこが)れだった。
『西部警察』の銃撃戦の撮影現場。ひと気のない日曜日の埠頭(ふとう)のお昼休みは、渡哲也さんも舘ひろしさんも峰竜太さんもこの僕も、みんな上着を脱ぎ捨てて、食事の後は日光浴と決まっていた。真っ黒に日焼けして、ニッコリ笑うとのぞく白い歯こそ、二枚目俳優のお約束だったのだ。
日なたぼっこするのなら、梅雨入り前の澄んだ空気と強い日差しの今の時期に限る。
寝っ転がれば真夏にひけをとらない日差しがジリジリと肌を焦がしてくれる。額に汗が浮かんだらムックリ体を起こすだけ。ひんやり乾いた風が火照った体を冷ましてくれる。梅雨入り前の晴天こそ、僕の至福の時間だった。
日焼けは皮膚がんのもと、角膜炎のもと、免疫低下のもととお医者さんは言う。UV―AだかUV―Bだか知らないが、本当にそんなに日焼けは悪いのだろうか。やっぱり日なたぼっこをあきらめ切れない僕が、テレビの画面から叫んでいる。
「Slip! Slop! Slap!」
「長袖シャツを着よう。日焼け止めを塗ろう。ツバの広い帽子を被ろう」とは、オーストラリア政府の紫外線防止の合言葉。
気象予報士の僕は、日焼けをお勧めするわけにはいかない。