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題字・イラスト 井沢洋二
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軽井沢は朝から生憎(あいにく)の曇り空。低く垂れ込める雲に浅間山はほんのちょっぴり足元しか見えない。でも、大きく伸びをして澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込むだけで、高原の朝は充分に楽しめる。
街に暮らす人間が憧(あこが)れる高原の朝の景色といえば、朝霧に煙るカラ松林。そして、深い森のあちらこちらから聞こえてくる鳥の囀(さえず)りといったところだろう。
実際、霧は軽井沢名物の一つだ。軽井沢では年平均で130日以上も霧が発生する。
軽井沢の霧は、この季節♀鰹ク霧に分類されるものが多い。湿った空気が山や丘などの斜面を吹き上がる時に発生する。山を登る湿った空気は、気圧が低くなるにつれ、膨張しながら温度が下がる。空気中に含みきれなくなった水蒸気が、霧となって現れる。
標高差約1000メートルの碓氷峠の斜面を関東平野からの南東風が登り、霧を発生させて軽井沢に流れ込んでくるのだ。
軽井沢の鳥の囀りは、地元の人に言わせれば囀りなんてお上品なものではない。軽井沢では朝から鳥が大合唱すると自慢する。
なぜ、鳥は朝によく鳴くのか。上野動物園に電話して尋ねてみた。
鳥は夜明けから活動するが、日中は活動が鈍くなる。縄張り争いや求愛行動、仲間に危険を知らせる時などに鳴くという。
でも、鳥の体内時計がどうなっているかなど、鳥の生態の詳しいことは分かっていないのだそうだ。天気も鳥も自然には未知なる部分がたくさんある。
まっ、それはそれで、いいではないか。朝っぱらから鳥のおしゃべりの内容がすべて分かってしまっては耳障りというものだ。
その昔、少年の僕は自転車を乗り回し友人の別荘のコケ庭を荒らし、旧軽井沢銀座裏のゲームセンターで高原の1日の大半を費やした。
早起きなんて大嫌い。散歩なんて大嫌い。霧を眺めれば「ケッ、しけた天気」と舌打ちし、小鳥が囀れば「うるさい」と眉をひそめた。
その僕が、霧を眺め鳥の囀りを聞く。僕が四十を超えて軽井沢ライフの神髄を会得したのは、気象予報士のおかげかもしれない。