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2004.7.1(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 ディジュリ ドゥ(オーストラリア)
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アボリジニー 魂の鼓動

 話題のベストセラー「世界の中心で、愛をさけぶ」で、白血病と闘う主人公の女性が心のよりどころとしたアボリジニー。長く迫害を受けた民族の生き様に、病気にむしばまれる自分の姿を重ねている。
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 アボリジニーは4万年以上もの間、大陸の主だった。が、ここわずか2、3世紀の間に移住してきた白人による圧迫で、約30万人いた人口が4分の1に減った悲劇の歴史がある。

   *     *   

地図  ディジュリドゥは、千年以上前から彼らと歩んできた。シロアリが中を食い尽くして空洞になった野生のユーカリを、約1、2メートルに切断したシンプルな管楽器。太さ10数センチの片側に口をつけ、息を吹き込む。長いほど低く、短いほど高い音が出る。指穴はなく、息の強さ、舌使い、唇の振動で音色を変える。主に儀式で使い、男性奏者のみがダンスの伴奏に、ときには他の楽器とあわせて演奏する。「水」や「トカゲ」「夕日」など、自然界のあらゆるものに曲が付けられている。

 「ドォー、ドォー」という地響きのような低くて強い音と、「ドゥビドゥビ」という独特の振動音。逆境の中でも、自然を敬愛して生き抜く、誇り高き民族の魂の鼓動が聞こえてくるかのようだ。



◆哲J「アーネムランドの風」 
 アーネムランド地方に暮らすヨルング族のディジュリドゥ奏者から学んだテクニックとリズムをアレンジしたアルバム=写真。2500円。

◆ジェレミー・クローク「TRANSFORMATION」
 アボリジニー居住区での生活を経験しながらディジュリドゥを学んだニュージーランド人が先月発表したソロアルバム。2500円。

 ※いずれもhttp://www.dinkum-j.comでも販売。  

◆ジェレミー・クローク 日本公演
 7月4日(日)午後6時半、東京都杉並区荻窪5丁目のMuseum Tokyo(荻窪駅)。3回目の来日公演。DVD映像をバックに、ニューアルバムの中の曲を中心に披露する。3000円。問い合わせはディンカム・オージー倶楽部(TEL03・3933・5763)。


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◆映画「WALKABOUT美しき冒険旅行」 
 ーストラリアの砂漠で途方に暮れる少女(ジェニー・アガター)と弟が、アボリジニーの少年(デビッド・ガルピリル)と出会い、言葉が通じないまま旅を続ける=写真。ディジュリドゥの音楽がクライマックスを盛り上げる。8月7日(土)から新宿・テアトルタイムズスクエアにてレートショー。初日午後9時15分、GOMAのディジュリドゥライブも。


◆Cafe Bar BLOOMOON
 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目(吉祥寺駅、TEL0422・22・6171)。店内にはオーナーがモロッコやインドなど20か国以上を旅して集めた調度品が飾られている。
 第3(金)の午後7時半、ディジュリドゥのライブが開かれる。飛び入り参加可、次回は7月16日。営業は、午後5時〜午前1時((月)休み)。

哲J

民族への敬意が上達のすべ
哲J(てつ じぇい・37)

奏  哲Jこと上野哲路には、アボリジニーからもらったもう一つの名前がある。部族の中だけで呼び合う名前で、外に知らせることはほとんどない。上野が仲間として認められた証しだ。

 89年に初めてオーストラリアを訪れて以来毎年、ノーザン・テリトリー北東部、アーネムランド地方に暮らすヨルング族を訪ねている。ディジュリドゥは、シンプルなだけに「技術よりも、精神的な充実度がそのまま音に表れる」楽器。だからこそ、アボリジニーの文化を肌で感じ、敬意を抱くことが、上達の最善の方法だと考えている。

 今年5月、忘れられない光景を見た。アボリジニーに連れられて行った離島で、ウミガメ猟を目の当たりにした。日本では自然保護の象徴のような生き物を、食べていくために、やりで刺し殺す。「分かってはいてもショックだった」が、また一歩彼らの心情に近づけたと思った。

 直後のライブ、彼の音は、明らかに重みが増していたという。ファンやスタッフは、「最初の音を聞いただけで鳥肌がたった」と話す。

 「音だけで自分の感情を訴えられる奏者を目指す」哲J。自らに宿ったアボリジニー魂をディジリドゥに吹き込み、人々の心を突き動かしていく。


エール 先住民の聖地

登山家・田部井淳子さん  00年、アボリジニーの聖地エアーズロックに登りました。地上からの高さ348メートル、世界最大の一枚岩は、自然からわき出たエネルギーの塊のようです。登山前日、夕日で真っ赤に染まる岩山を見たとき、先住民が抱く「畏敬(いけい)の念」が伝わってきました。登山も音楽と一緒です。エアーズロックに登るときには、事前に山の持つ意味や、背景を理解し、敬虔(けいけん)な山であること心に留めて楽しんでください。


 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
(2004年7月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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