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2004.7.8(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 ビリンバウ(ブラジル)
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奏者を射抜き響く弦音

 大きく弧を描いた木の棒に、ピンと張られた1本の糸。極めて原始的なその姿は、さながら音の矢を射る巨大な弓だ。
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 アフリカ大陸で発祥した最古の弦楽器といわれ、もとは呪術などに用いられていたらしい。やがて黒人とともに海を渡り、南米へ伝わったとされる。現在では、ブラジルの格闘技・カポエイラの伴奏に欠かせない楽器になった。

   *     *   

 弦を外側に向けて片手で全体を支え、さらに調律の役割をする平たい石を弦に添える。利き手には木製のバチと、カシシというマラカスに似た拳大の楽器を持つ。バチで弦をたたいて音を出し、弓の根本にしつらえた、ヒョウタンを割った共鳴器を胸元に向け、体との距離を調節して音に変化を与える。

 バチに打たれた弦音は1本弦とは思えぬほど変化し、幾万の羽虫が群舞するかのように、遠く、近く、うなる。カシシが刻む、素足が熱砂を激しく踏みしだくようなリズムを従えて。

 普通の楽器は観客に向け音を出すが、ビリンバウが弓ならば、共鳴器を通った音を胸に受ける弾き手はまさに的だ。音の矢に射抜かれた奏者はその血と肉を震わせ、全身から音を響かせる。ビリンバウが奏でるのは、「人間の音」なのだ。


◆「ブラジルのビリンバウ演奏−フランソワ・コケラエ」 
 ビリンバウのコミカルな音色が楽しめる全8曲を収録=写真。カルタコム(TEL03・3776・1080)で買うと2400円。


世界の民族音楽CD
カルタコム

◆象の家
 宇都宮市大谷町(宇都宮インター、TEL028・652・1422)。大谷石造りの重厚な店内でエスニック料理が味わえる。コースは1550円から。不定期で丸山祐一郎の演奏会を始め、様々なイベントも開催。スケジュールの問い合わせはEメール(zounoie@ybb.ne.jp)で。午前11時半〜午後2時、5時半〜9時半。(月)((祝)の場合翌(火))休み。


◆トリボ・ダ・ルア 
 ブラジル出身のマンデーラ講師のもと、池袋・吉祥寺を中心に活動するカポエイラ団体=写真。ビリンバウのほか、パーカッションの練習も行う。個人レッスンは応相談。Eメール(bahiabeat-lj@infoseek.jp)で問い合わせを。カポエイラの体験レッスンは、1000〜1500円(初回のみ)。活動・レッスンの詳細はホームページ(http://bahiabeat.at.infoseek.co.jp)かTEL03・3920・2260で確認を。

◆丸山祐一郎のビリンバウ制作
 演奏会のみならず、ビリンバウや、自作の楽器「水カンリンバ」の作り方のワークショップも行う丸山。「スケジュールさえ空いていればどこへでも駆けつけます」とのこと。TEL・FAX(0269・63・1231)で問い合わせを。


◆水カンリンバ
   空き缶4本をつなげ、中に水を入れた楽器。「水の大切さを伝えたい」と、丸山祐一郎が考案、普及に努めている。作り方はホームページ(http://www.geocities.co.jp/NatureLand/6430/mizukanrinba/)に。


◆エスペト・ブラジル 
 東京都豊島区南大塚3丁目(大塚駅、TEL03・5979・4433)。毎月第1(金)にビリンバウの伴奏にのせたカポエイラのショーがあるほか、日替わりでサンバやボサノバのステージを見ながらブラジル料理が味わえる。豆と豚肉を煮込んだ「フェイジョアーダ」のセット=写真=は、「コウビ」(ケールの葉のソテー)と「ファロファ」(キャッサバ芋の粉)、ライスが付いて1890円。
 ライブチャージ有。午後6時〜午前1時。無休。要予約。ライブのスケジュールはホームページ(http://espetobrasil.ld.infoseek.co.jp)に。

丸山 祐一郎

「師匠」と歩む、音楽の旅路
丸山 祐一郎(51)

奏  旅の音楽家は、四輪駆動車に40種もの楽器を詰め込み現れた。「少しでも多くの人に聴いて欲しい」と、年の大半を旅路に費やし、日本のみならず世界各地で演奏会を開く。カエルの鳴き声、風のうなり、大地を打つ雨音など、様々な音色を立てる楽器を集めた丸山のステージは、音が描く一幅の絵を見るようだ。その中心で丸山は、「音楽の師匠」ビリンバウを弾く。

 出会いは20年ほど前。高度な技術と高価な楽器を用いたものこそが真の音楽と信じて疑わなかった丸山は、ボサノバギター奏者として修行に渡ったブラジルで、その多彩でのびやかな弦音を耳にした。大仰な楽器の音色かと思うと、作りは単純で安価、粗末にさえ見えるビリンバウが、大道芸人の手の中でわななき、カポエイラに興ずる人々を盛り上げていた。「雷に打たれたような」瞬間だった。「音楽は才能ある人や、裕福な人だけのものじゃない。誰でもどこでも楽しめるものだ」と、一瞬で教えられた。

 以来、その音色のとりこになった丸山は、修行に没頭。独学と試行錯誤を経て、「日本人の自分にしかできないことを」と、能や、様々な民族楽器との共演など、ビリンバウの新たな可能性を追求し続けている。


エール 未体験の音色

ミュージカル俳優・坂元健児さん  ブラジルを題材にした舞台の振り付けにカポエイラを採り入れることになって、その時初めてビリンバウを知りました。見た目に、面白い形の楽器だな、と。そこから出てくる音が一体どんなものなのか、想像がつきませんでした。聴いてみたら、単純な形なのに音程がいろいろ変わったりして。初めて経験する音とリズムで、合わせて踊るのがすごく難しかったのを覚えています。 


 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
(2004年7月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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