微分音が生む「不思議」
アラビア語で「木」を意味する「アル・ウード」が語源の弦楽器ウード。アラブ音楽では「楽器の女王」とも呼ばれる代表的な楽器だ。3世紀から栄えたササン朝ペルシャ時代の弦楽器を起源に持ち、ギターや琵琶、リュートなどの先祖といわれる。
現在では、西アジアから北アフリカの広い地域で愛用されているが、形や装飾は各地で少しずつ違う。共通しているのは、十数枚の板をつなぎ合わせた共鳴胴。木材が貴重な中東ならではの工夫だ。横から見ると、洋ナシを縦半分にしたようなふっくらとした膨らみを持つ。ギターと同じかやや大きめだが、持つと意外なほど軽い。
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表面には大小三つの穴があり、水牛の角やラクダの骨、木などに透かし模様を彫ったものを裏から張っている。文様で装飾性を持たせるとともに、独特の響きを得るためだ。弦は当初4組8本だったのが、改良を重ねられた現在は6組が標準。これを小さなバチなどではじく。
演奏で難しいのは微分音。アラブ音楽には、12音階の西洋音楽とは違い、もっと細かい、4分の1、8分の1の微妙な音程がある。この微妙な違いは、師から弟子に口伝で受け継いでいく。
摩訶(まか)不思議な心地がするのは、この微分音のせいだろうか。感覚的にも高度なものが要求されるため、演奏家の力量が問われる部分でもある。
◆「STOYII」(写真)
アラブ、トルコ、ギリシャなどの古典音楽、民族音楽を、ウード(常味)、ピアノ(佐藤允彦)、タブラ(吉見)、バイオリン(太田)で演奏。「アルジェリアの夜」など全9曲。2625円。
上記CDを5人にプレゼントします。
応募は7月22日まで。

提供
 カルタコム
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◆常味裕司ソロコンサート
7月31日(土)午後7時、群馬県粕川村中之沢の中之沢美術館(上毛電鉄粕川駅からバス、(金)(土)(日)の午前11時〜午後4時、TEL090・6155・2918)。「アルジェリアの夜」(エジプト)、「ジプシーの香り」(チュニジア)、「ロンガ・シャーナーズ」(トルコ)などアラブ音楽を。2500円。
◆アラブ音楽
チュニジア国歌を作曲し、アラブとヨーロッパ双方の音楽に精通したサラーフ・アル・マハディ氏によるアラブ音楽の歴史、楽器などの解説書。「入門書」とあるが、理論などは本格的な内容。訳は多摩美大教授でウード奏者の松田嘉子さん。B6判、148ページ、1800円。問い合わせはパストラルサウンド(TEL03・5701・7077)。
◆映画「ある歌い女の思い出」
チュニジアの女性監督が撮った01年公開のチュニジア・仏合作。舞台は、独立前後の50年代チュニジア王宮。召使の母と、父を知らぬ娘アリヤの葛藤(かっとう)物語に、ウードの音色が効果的な役割を果たしている=写真はウードを抱くアリヤ。音楽を担当したアヌアル・ブラヒムは、アリ・スリティ氏の門下生。127分。DVD5040円。問い合わせは新日本映画社(TEL03・3496・4871)。
◆ハンニバル
東京都新宿区百人町1丁目(新大久保駅、TEL03・5389・7313、http://www.hannibal.cc/)。チュニジア人オーナーシェフ、モンデール・ジェリビさん=写真=によるチュニジア料理専門店。魚や肉の丸ごと1匹オーブン焼き(1800円から)、チュニジア春巻き「ブリック」(800円)など、トマト、ニンニク、オリーブオイルをベースにスパイスを使った伝統料理が楽しめる。チュニジアワインも充実。コースは3500円から。営業時間は、午後5時〜深夜0時半(ラストオーダー)。第1・2・3(火)休み。 |
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「偉大な楽器」ひたすら謙虚に
常味 裕司(43)
出会いは一枚のレコード。インド音楽を学んでいた25歳の時だ。ふと手にしたLPが、イラクの巨匠ムニール・バシールのウードの音楽だった。その音の深さに一気に魅了され、当時日本に滞在していたスーダンの奏者、ハムザ・エル・ディン氏のもとで演奏法を学んだ後、本場で学ぼうとチュニジアへ渡った。
師匠は、当時チュニス国立音楽院教授で、アラブ屈指の奏者でもあるアリ・スリティ氏(87)。チュニジアでは人間国宝のような存在だが、レコードをほとんど出さないので、直接、師の演奏に接し、奥義を学び続けた。「先生のことを思うだけで、鳥肌が立ってくる」と話すほど、常味にとっては絶対的な存在だ。
「自分の一生ではどうにもならない音楽、楽器をやっている」。圧倒的に現地の音楽が偉大で、ひとつでも多く、それを学ぼうと心掛ける。
現在はタブラの吉見征樹、バイオリンの太田恵資と結成した「アラビンディア」としても活動中。どんな音楽にも自在に合わせられる楽器ではないだけに、セッションには難しさも伴う。
「だから素晴らしい。個性がはっきりしている。これを選んだ私もそういう生き方です」
エール 頑固さがイイ
歌手・宇崎竜童さん
コンサートでアラビンディアにサポートしてもらっています。ウードをポピュラー音楽に合わせるのは難しく、苦労していたようです。といっても、僕との仕事は唯一妥協してくれている部分のようで、ほかでは古典しかやっていないのでしょうね。時々、お客さんの前で楽器の説明をしてもらうのですが、その説明の仕方が学校の先生みたい。ドとレの間に8音もの音階があるという複雑な音を操るのですから、尊敬に値するアーティストです。
これまでのコラム
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
●タブラ(インド) 吉見 征樹
●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
●ケーナ(ペルー) 田中 健
●ジェンベ(マリ) 池田 正博
●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
●ウクレレ(米国) 高木ブー
●津軽三味線(日本) 上妻宏光
●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
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