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2004.10.14(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 シタール (インド) 
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神秘的世界へ導く余韻

 約130センチもの大ぶりな本体に、精巧な彫刻、装飾が施されたインドの弦楽器シタール。存在感のある姿は、かつてのインド宮廷文化の栄華を誇るようだ。
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 ペルシャ語で「三弦」のセタールとインドの古典楽器ビーナがルーツと言われる。セタールは主に地方で用いられていたが、中央の宮廷が弱まった18世紀、各地の有力者に支えられ、ビーナの要素を取り込みながら楽器としての地位を確立した。その形は変化し続け、今の形になったのは20世紀に入ってから。インドの混とんを体現する楽器だ。第2次大戦後はヨーロッパでも知られるようになり、巨匠ラビ・シャンカールはビートルズにも影響を与えた。

   *     *   

 7本の弦が、さおに20個ほどついたアーチ状の金属棒、フレットの上を走っている。その下に共鳴弦が11〜13本。ユウガオの実でできた共鳴胴にあるコマは、弦と面で接していて、これがシタール独特の長い余韻を生む。さらに、はじいた弦をフレット沿いにぐっと引っ張ると、「ビヨヨーン」と響き、これぞインド音楽、という装飾音になる。

 演奏の基本は伝統パターンに基づく即興。さざ波のように寄せては返すメロディーは、輪廻(りんね)を思わせ、神秘的な精神世界へといざなわれる。


◆ラビ・シャンカール、アヌーシュカ・シャンカール「フル・サークル−−カーネギー・ライヴ2000」(写真)
 巨匠ラビ・シャンカールが娘アヌーシュカと共演したライブ。20年生まれのラビの円熟を極めた演奏が堪能できる全5曲。
 2800円。

上記CDを「世界の民族音楽CD通販カルタコム」から5人にプレゼントします
応募は10月21日まで

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◆ザ・ビートルズ「ラバー・ソウル」(写真)
 ジョージ・ハリソンがシタールを演奏する「ノルウェーの森」を収録。
 ハリソンはラビ・シャンカールの元でシタールを習得した。同曲がきっかけで、シタールが広く世界に知られるようになったという。全14曲。2548円。

◆ディワリ・イン・横浜2004
 10月23日(土)と24日(日)、午前10時〜午後5時、横浜市中区山下町の山下公園(石川町駅)。ヒンドゥー教の正月を祝う祭り「ディワリ」を記念して、インド文化を紹介をするイベント。
 シタール演奏やインド舞踊のステージを始め、インド料理屋台、バザー、ワークショップなど。雨天決行。問い合わせは事務局(TEL045・641・0292)。

◆モニラル・ナグ来日公演「幻想のシタール」
 現代インドを代表するシタール奏者ナグ=写真=の来日公演。以下の日程と場所で。
 ▼10月21日(木)午後7時、神奈川県座間市緑ケ丘1丁目のハーモニーホール座間(相武台前駅)。全席指定3500円。
 ▼10月24日(日)3時、横浜市保土ケ谷区岩間町1丁目の岩間市民プラザ(保土ケ谷駅)。全席自由2000円。
 ▼10月27日(水)7時、東京都葛飾区亀有3丁目の、かめありリリオホール(亀有駅)。全席指定3500円。
 ▼10月28日(木)7時、東京都調布市小島町2丁目の市グリーンホール(調布駅)。全席指定3500円。
 ▼11月3日(水・祝)2時、東京都立川市幸町6丁目のロバハウス(玉川上水駅)。全席自由4000円。
 問い合わせは久保アートプロデュース(TEL042・540・0107)。

◆民族音楽センター
 東京都武蔵野市吉祥寺南町1丁目(吉祥寺駅)。若林忠宏主宰の教室。シタールを始めウード、タブラ、サズなど世界中の様々な楽器を学べる。月2〜4回。個人もしくは2〜3人のグループレッスン。1レッスン4000〜7000円。詳細はホームページ(http://www.musiqageet.com/)。


◆映画「大地のうた」(写真)
 インド映画界の巨匠サタジット・レイ監督が55年に製作。ラビ・シャンカールが音楽を担当。ベンガル地方の片田舎に生きる下層階級の家族の厳しい生活を描く。125分。DVD3675円。問い合わせはアイ・ヴィー・シー(TEL03・3403・5691)。

若林忠宏

シタールから始まった旅
若林忠宏(47)

奏  所有する民族楽器は約900種、2500点。これらのほとんどを弾きこなす。国内でも有数の民族楽器演奏家の若林がこの世界に入ったきっかけは、シタールとの出会いだった。

 ピアノ教師の母のもと音楽に囲まれて育ったが、ピアノもバイオリンも性に合わず、「西洋音楽の落ちこぼれ」だった。しかし14歳の時、ラジオで耳にしたシタールの音にピンと来た。クラシックやロックとは全く違う。恐怖感すら覚えながらも強くひかれた。近所の民芸品店でシタールを見つけたが、20万円もして手が出ない。1年間通いつめると、閉店の日に店主が「2万円でいいよ」と売ってくれた。それからは、巨匠ラビ・シャンカールのレコードを聴きながら独学の日々。23歳で初めてインドに渡り、ウスタード・イリヤス・カーンに奥義を学ぶ。

 シタールを極めるうち、アラブ、アフリカ、ラテンアメリカ各地の民族楽器を探求していくことになる。しかし、シタールは素の自分自身で演奏できる楽器だという。インドでは「神々の波動の受信機」とも言われる。聴く人は「難しいことを考えずに、シタールの音の温泉につかってもらえればいい」。何を感じるかは聴き手の自由だというインド音楽。その懐は深い。


エール 民族音楽の雄

評論家・立花隆さん
 インド人音楽家の知人が、こんな人が日本にいるのかと驚嘆していた。若林さんは、中学2年のときラジオで聞いたシタールに魅せられ、自作までした。インド音楽をはじめてインド人の前で演奏したら、すぐにインドの国立音楽院に招待留学がきまった。音楽院では学生がみな若林さんに刺激を受け、「若林に負けてなるものか」と全員がドクター・コース進学をきめたという。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ

(2004年10月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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