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2004.10.21(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 ハルダンゲルバイオリン
(ノルウェー)
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一台が奏でるハーモニー

 「ハルダンガーフィドル」などとも呼ばれるノルウェーの国民的楽器。美しいフィヨルドの海岸線が続く、西ノルウェーのハルダンゲル地方でできたといわれるが、ルーツは定かではない。ベルゲン市の博物館に17世紀中頃に作られたハルダンゲルバイオリンが現存するという。
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 さお部分の先端には、バイキング船の船首の守り神のように、ドラゴンの首が鎮座している。楽器全体に、花模様や、真珠貝などの象眼細工が繊細に刻まれ、芸術品のような美しさに、見とれてしまう。

   *     *   

地図

 見た目だけでなく、弓で弾く4本の弦の下に、共鳴弦が5本通るのも変わっている。このため、哀愁を帯びた透明感のある音色が生まれる。このようなバイオリンは、他の地域にはないノルウェー独特のものだ。

 さらに、上の弦が描くカーブは平たく、弓は常に2、3本の弦を同時に弾く。共鳴弦の音も加わり、一人で弾いていても二人以上で弾いているようなハーモニーが生み出される。

 ノルウェーの作曲家グリーグは、ハルダンゲルバイオリンの音色に触発され、ユニークな曲を数多く残した。共鳴弦をつま弾く音からヒントを得て、有名な「朝」の一節を作曲したという話も残っている。


◆山瀬理桜「Golden Aurora」(写真)
 日本の曲「涙そうそう」から、ノルウェーで親しまれている「フィヨルドの夏の夜の思い出」まで、クラシックというジャンルにとらわれない選曲が魅力の11曲。北欧の風景が目の前に広がるような透明感ある音色にいやされる。2800円。
 

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◆アンビョルグ・リーエン「Aliens Alive」
 ノルウェーで活躍するハルダンゲルバイオリン奏者、アンビョルグ・リーエン初のライブアルバム。伝統音楽に根差しつつ、ジャズやポップスなどの要素を取り入れ、美しいハルダンゲルバイオリンの響きと壮大なスケールが楽しめる。12曲。2510円。


◆スカンジナビア・フェア「おとぎの国々 スカンジナビア」
 11月20日(土)、21日(日)、午前11時〜午後5時半、東京都江東区青海1丁目のヴィーナスフォート内教会広場(ゆりかもめ青海駅)。
 ノルウェー、デンマーク、スウェーデンのスカンディナビア3カ国の観光協会やホテルなど約30団体が様々な情報を提供する。ステージでは、午後1時、グリーンランド・サンタクロース協会公認のサンタクロースによるクリスマスショー▼3時、ハルダンゲルバイオリニスト山瀬理桜のコンサート▼5時、ノルウェー・ベルゲン市のバンド「Tweeterfriendly Music」の公演。詳細は、ホームページ(http://www.visitscandinavia.or.jp)。


◆アクアビットジャパン
 港区西麻布1丁目(六本木駅、TEL03・3408・4778)のショールーム。ノルウェー産スモークサーモンやボイル甘エビ=写真=、レバーパテなどノルウェーやスウェーデン、デンマークなど北欧の食材、キッチン用品、雑貨を展示、販売している。購入する場合は、事前に電話予約が確実。通信販売(http://www.aquavitjapan.com/)も。


◆ハーダンガー刺しゅう
 ノルウェーのハルダンゲル地方に16世紀ごろから伝わる刺しゅうで、布目を数えながら一目ずつ刺し、織り糸を格子状に残して抜いていき、かがる、手の込んだ美しい透かし模様が特徴。

山瀬理桜

白夜と芸術の国に恋して
山瀬 理桜(やませ りお)

奏  「今、この楽器を宣伝中なんです」。バイオリン奏者の山瀬が、この楽器に魅せられたのは、現地の男性と結婚した姉のいる、ノルウェーを訪れるようになってからのこと。

 ノルウェーといえば「バイキングとサーモン」ぐらいしか知らなかった。しかし、オスロのムンク美術館のホールでコンサートを開き、豊かな自然や料理に親しむうち、この土地の音楽を知りたくなった。ノルウェー出身の作曲家グリーグの伝記を読むと、ハルダンゲルバイオリンが何度も出てきた。その楽器が彼に与えた影響の大きさを知るにつれ、弾いてみたくなった。田舎でダンスの伴奏に使われている、クラシック音楽界とは隔絶したハルダンゲルバイオリンは、楽器店では見つからなかった。「クラシック奏者がこんな楽器弾く必要ないよ」と言われ、ようやく手に入れたのは2年少し前。約60年前製作の楽器とは、今は語らいの時期。音色の深い響きは奥深く、時々新しい一面を見せる楽器に、新しい恋人のように夢中になっている。

 今夏、ムンク美術館で開催したコンサートは、ムンクの「叫び」が盗まれた4日後だったが、警備員が一人から二人になっただけ。おおらかなお国柄にひかれ、何度も訪れてしまう。


エール 独創的な音色

バイオリニスト・江藤俊哉さん
 山瀬理桜さんは、若く才能豊かなバイオリニストです。彼女が演奏するハルダンゲルバイオリンのCDを聞いた時、彼女がつくりだす非凡な音色はもちろん、ハルダンゲルバイオリンという楽器と北欧音楽を紹介することにかける大きな熱意に、深く感銘を受けました。彼女の独創性と多方面にわたる積極的な音楽活動が、将来成功するであろうことを、大きな楽しみと確信をもって見守っています。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏

(2004年10月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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