全土で注目「恋の笛」
中国語でフルス、タイ族の言葉でビラムダオ。どちらもひょうたんの笛という意味だ。中国・雲南省のほか、タイ、ラオス、ミャンマーの国境地帯に住む、タイ族、ダアン族など数多くの少数民族がひょうたん笛を吹く。
日本ではあまり知られていないが、中国ではブームとは言えないまでも急成長を遂げている。地元の村でも聞かれなくなっていたものが、99年に雲南省の省都・昆明で開かれた世界園芸博覧会で紹介されたのをきっかけに、今や北京や上海の楽器店でも手に入る全国区の楽器になった。日本からもインターネットで簡単に手に入る。
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ひょうたんの底に2、3本の竹の管が刺さる。7個ほどの穴のあいた中央の管はメロディーを、左右に付いた管は持続音を出す。小ぶりな形はどこかユーモラスだ。やや低めの音が耳に柔らかく、持続音が鳴るために、同時にいくつかの笛の音を聞いているようだ。バグパイプに似た音だが、それよりは小さく、繊細で軽快だ。鼻から息を吸いながら、途切れることなく吹き続ける循環呼吸で鳴る音が、軽いトランス状態にいざなう。
もともとは村の未婚の男性が女性に求愛する「ひょうたん笛恋愛」の手段として使われていた。少し切ない、聴きようによってはなまめかしい音が、恋の成就と急成長の秘密だろうか。
◆女子十二楽坊「Beautiful Energy」(写真)
中国民族楽器のアンサンブルで、今年の日本ゴールドディスク大賞(洋楽部門)を受賞した女子十二楽坊のデビューアルバム。収録曲「劉三姐」でひょうたん笛の音を聞くことができる。全15曲。ライブ映像やメンバー紹介などが入ったDVD付き。2980円。
上記CDを 「世界の民族音楽CD通販カルタコム」 から5人にプレゼントします
応募は11月4日まで

提供
 カルタコム
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◆伊藤さんのHP「People,Life and MUSIC」
中国・雲南省、タイ、ラオス、ミャンマーの生活、音楽や伊藤さんが現地で出会った人、ものを紹介。ひょうたん笛自体だけでなく、その文化的背景についても詳しく、演奏方法の写真付きの解説もある。
http://tokyo.cool.ne.jp/worldmusic/
◆黄金の四角地帯
メコン川流域のタイ、ミャンマー、ラオス、中国の4カ国の国境地帯を指す名称として90年代頃から使われはじめた。山がちで複雑な地形に、少数民族が数多く住む。以前はアヘンの産地として悪名高かったが、現在はメコン開発の拠点として期待されている。
◆雲南料理「御膳房」
東京都港区六本木6丁目(六本木駅、TEL03・3470・2218)。
雲南省出身のシェフが、甘・辛・酸のバランスが取れた料理を提供。
おすすめは雲南省の名物「過橋米線(かきょうべいせん)」(写真左、2200円)。科挙を受験する夫のために妻が作ったという料理で、米粉のめんに、エビ、ホタテ、ニラなどが入る。スタッフが目の前で煮えたぎったスープに具材を入れて調理。「過橋米線」や「雲南豆腐」(同右)の入ったコースは6300円から。薬膳(やくぜん)茶や酒も充実。
11月末まで「マリオンを見た」と言うとドリンク1杯サービス。午前11時半〜午後2時半、5時〜10時半。
◆映画「中国の鳥人」(写真)
雲南省の国境地帯の村を舞台に、平凡な商社マンと訳ありヤクザが村に伝わる「鳥人伝説」に心ひかれていく。雲南省の景色を堪能できる。98年制作。三池崇史監督。椎名誠原作。本木雅弘、石橋蓮司ら出演。118分。DVD2940円(ハピネット・ピクチャーズ)。
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日常に生きる音楽を追う
伊藤 悟(27)
中国・雲南省の国境地帯にあるタイ族の村でも、ひょうたん笛を演奏できるのは一部の老人たちだけだった。ともすると途絶えそうな伝統楽器や音楽を記録、収集するフィールドワークに、雲南芸術学院の張興栄教授の助手として携わった。
初めてこの笛に出会ったのは、留学生として雲南省に来て1カ月ほどの昆明の街。偶然寄った店で、後に笛の師となるタイ族のエン・ダーチュエン先生が、友人と酒を飲みながら演奏していた。その素朴で柔らかく、「人の心のすき間に入りこんでくるような」響きに、これをやるしかないと直観。なんとすぐに大学に退学届を出し、エン先生や張教授のもとで勉強を始めた。
昔から伝わるひょうたん笛の曲「古い調べ」が吹きたくて、エン先生を飲ませておだてて曲を演奏してもらった。「古い調べ」はタイ族の生活や人生に密着した曲。実際村に行き、直接「ひょうたん笛恋愛」体験者の老人たちを訪ね、演奏を聞いた。
時に同じ村に3カ月前後滞在した経験などから「音楽自体も好きだが、それ以上に音楽のある彼らの生活、文化に価値を感じる」という。今は多くを学ばせてくれた彼らに少しでも何かを返したい、と日本との文化交流など道を模索している。
エール 未来的な楽器
ザ・ひょうたんフィルハーモニック 代表・三木俊治さん
ひょうたん楽器の歴史は古く、中国・雲南を中心に幅広く分布する、この笛の仲間をはじめ、管弦打すべての楽器が世界中にちりばめられている。
また一方、ひょうたんでまったく新しい楽器をつくり出すという我々のような試みもあり、文字通りひょうたんは「過去と未来」「地域と世界」を結ぶ未来的メディアであるといえる。
これまでのコラム
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
●タブラ(インド) 吉見 征樹
●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
●ケーナ(ペルー) 田中 健
●ジェンベ(マリ) 池田 正博
●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
●ウクレレ(米国) 高木ブー
●津軽三味線(日本) 上妻宏光
●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
●ウード(チュニジア) 常味 裕司
●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
●チャング(朝鮮半島) 康明洙
●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
●シタール (インド) 若林 忠宏
●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
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