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2004.11.4(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 オカリナ(イタリア)
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土から生まれた心地よさ

 茅葺(かやぶ)き屋根の家、その横に広がる畑や田んぼ……。オカリナの音色には、日本の原風景がよく似合う。それは、オカリナが、生命の根源である土から作られている陶器の楽器だからなのかもしれない。
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 しかし、実はそのルーツはイタリアにある。19世紀中頃、北イタリアの小さな町で、オカリナは楽器として確立した。西洋独特のバロック調音楽などにあわせて、演奏されていた。

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 だが歴史をさかのぼれば、土の笛、陶器の笛は各地の古代文明にも存在した。マヤ文明から出土した亀の形をした笛などもオカリナの原形に当たる。

 現在のオカリナは、一般に12個の穴がある。たて笛やフルートなどの音高が長さで決まるのと違い、オカリナの音程は、その内容積で決まる。小さいものは高い音、大きくなればなるほど低い音が出る。ビブラートのかかった音色が特徴で、一つの音でこれほど多くの倍音が出ている楽器はなく、それが心地よい響きにつながっているようだ。


◆宗次郎「オカリナ・エチュードコレクション−−リクエスト」(写真)
 「ふるさと」「赤とんぼ」といった童謡から「アベ・マリア」「星に願いを」など世界の名曲まで32曲をカバーした2枚組み。3300円。
 

◆宗次郎「遥かなる尾瀬」(写真)
 NHKで放送された「尾瀬・命の調べ」のオリジナルテーマ曲。おなじみの「夏の思い出」のカバーも収録。1200円。カラオケ付き。販売は風音工房(TEL03・5828・6042)その他のCDなどの情報はホームページ(http://www.sojiro.net/)で。  


◆オカリナ1日教室
 毎月第2(日)、午後3時〜6時、東京都杉並区西荻北3丁目のアケタの店(西荻窪駅)。ジャズライブハウス「アケタの店」(http://www.aketa.org/)のオーナー明田川荘之さんらが、持ち方、指使いなど基礎から教える教室。予約不要。楽器、テキストの貸し出しも可。1500円(1ドリンク付き)。
 月1回程度オカリナライブも。11月28日(日)、午後3時〜6時、「本城泰浩と『鶴見オカリーナ合奏団』」。2000円(1ドリンク付き)。問い合わせはアケタ西荻分室(TEL03・3396・1158)。

◆オカリナレッスン
 ヤマハでは、大人のための音楽レッスンオカリナコースをヤマノミュージックサロン有楽町店、ヤマハ銀座センターなど各地で開催。アンサンブルの楽しさも経験できる=写真。1カ月7500円前後(別途入会金が必要)。詳細は問い合わせは(TEL0120・329808、またはhttp://www.yamaha-ongaku.com/)。


◆宗次郎クラシカルアンサンブル−−オカリナ・エチュード
 2005年2月4日(金)午後6時半、5日(土)3時、東京都品川区北品川4丁目のキリスト品川教会グローリア・チャペル(品川駅)。全席指定6300円。未就学児入場不可。問い合わせはちけっとぽーと(TEL03・3357・9999)。

◆辛島美登里with東京フィルハーモニー交響楽団
 12月21日(火)午後7時、東京・池袋の東京芸術劇場(池袋駅)。デビュー15周年を迎えた辛島の恒例クリスマスコンサート。ピアノ協奏曲「宿命」を披露。スペシャルゲストに宗次郎。指揮・小松長生。S8400円、A6300円。未就学児入場不可。問い合わせはホットスタッフポロモーション(TEL03・5720・9999)。

宗次郎

逸品求めて1万個を制作
宗次郎(50)

奏  「季節の野菜くらいは自分で作りたい」。茨城県の山村にある自宅の庭で、大好きな土いじりをして暮らす。「ミュージシャンになっていなかったら、農業をやっていたかもしれない」。自然と調和する彼の旋律は、いつも土の中から生まれてきた。

 オカリナの音色を初めて聴いたのは30年前。栃木県の山奥で、制作も手掛ける演奏家に出会った。後に師となる人物だ。手の中に納まるほどの小さな笛から「高音が一瞬にして体を突き抜けていった感覚」は、今でも鮮明に覚えている。

 弟子入りして3年間は、オカリナの制作に専念した。粘土をこね、形を作り、穴を開けて焼く。土の硬さや焼き具合などで微妙に音色が変化する。1日16時間以上、作業に没頭。1カ月半ほどで、百個近く入る窯がいっぱいになった。

 師の元を離れても、逸品を求めてオカリナ作りを続けるかたわら、町のホールや知人の店などで小さな演奏会を開いた。「この音色を嫌いな人はいない」。当初から抱いていた想像は、次第に確信に変わっていった。

 85年、NHKの番組「大黄河」のテーマ曲に選ばれ、オカリナが広く世の中に知られるようになるまで10年。作ったオカリナの数は1万個を超えた。音色を聴いた人が、どこか懐かしい思いを抱くのは、宗次郎の手のひらから体中に染み込んだ土の香りを感じるからかもしれない。


エール 人の真ん中に

歌手・辛島美登里さん
 焼き物だからこそ出せるやわらかい音色に一瞬で魅了されました。オカリナは、あんなに小さな楽器なのに、たった一つで人の心を引き付ける力があります。高い音は、田舎の空の上を飛ぶトンビを思わせ、低い音は、あたたかく、懐かしい響きがしますね。人の息がそのまま音色に変わり、全く手を加えないのに、心地の良い音が出る。自分がポップスの世界にいるからこそ、そういった生の音を、人々の輪の真ん中においておかなければいけないと、より一層感じました。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏
 ●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
 ●ひょうたん笛(中国) 伊藤 悟

(2004年11月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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