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2004.11.11(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 中国琵琶(中国)
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歴史まとい、可憐に舞う

 「琵琶」と聞くと「耳なし芳一」の話を思い出すが、琵琶法師の持つ日本の琵琶と中国琵琶は、形こそ似ているものの、音と演奏方法は別物だ。
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 水の滴のようになめらかな曲線を描く梨型の胴と4本の弦。バチではなく、プラスチック製の義爪をはめた5本の指で弦をはじく。その音は、可憐(かれん)な花々が舞い散る様を思わせる。ギターのように抱えるのではなく、縦に立ててももの上にのせて弾く。

   *     *   

 琵琶は、中国語で「ピーパ」と発音する。名前の由来は、弦を外と内に向かってはじく往復運動を表す漢語とされている。

 起源には幾つかの説があるが、秦(しん)代に、鼓に弦を張ったものが最古の姿とも伝えられている。唐の時代には、宮廷音楽の主役の一つとして愛された。詩聖と呼ばれた白楽天の詩「琵琶行」にも歌われ、永く伝えられている。

 中国琵琶には、さまざまな表情がある。ピアノ、ギター、尺八……。相手に合わせ、そして曲によって表情を変える。ポップな曲の時には明るい響き、亡き人を思う時には心をなでる優しい響き。これが、何千年という中国の歴史の中で愛され続けた理由かもしれない。

 


◆ティンティン「ユーラシアの花−−a flower in eurasia」(写真)
 中国・西安出身の女性琵琶奏者。2枚目の本作は、広大なユーラシア大陸を旅するというイメージで制作。西洋とアジアの8曲と自作3曲の全11曲。中国琵琶と西洋楽器のコラボレーションが美しい。2940円。
上記CDを5人にプレゼントします
応募は11月18日まで

応募

提供
世界の民族音楽CD
カルタコム

◆ウェイ・ウォン「熱情−−passion」(写真)
 伝統的な琵琶の音色に新しい要素をプラスしたウェイのデビューアルバム。全11曲。3045円(ビクター)。  


◆ラストエンペラー(写真)
 ベルナルド・ベルトルッチ監督、ジョン・ローン主演、坂本龍一音楽。二胡(にこ)や中国琵琶など中国の民族楽器が、西洋のオーケストラと幻想的なサウンドを作り上げた。88年度アカデミー賞9部門を受賞。163分。DVD4935円(松竹ビデオ事業室)。


◆琵琶茶会−−中国茶と悠久の調べ
 11月27日(土)午前10時半、東京都渋谷区神宮前5丁目の中国茶専家「遊茶」(表参道駅、TEL03・5464・8088)。韓梅(はんめい)さんの奏でる中国琵琶の調べを聞きながら、中国茶の数々を楽しむ=写真。お茶請け付き。5250円。定員26人。要予約


◆中国国宝展
 11月28日(日)までの午前9時半〜午後5時((金)は8時まで)、東京・上野の東京国立博物館(上野駅)。(月)休み。中国国外初公開を中心に約170点を展示。甘粛省・麦積山の石窟(せっくつ)から発見された壁画「伎楽天(ぎがくてん)」=写真は部分=は、長い天衣をまとい、空中を舞う天人が琵琶を奏でる様子を描いている。1300円、高・大学生900円、小・中学生無料。ハローダイヤル03・5777・8600。

ウェイ・ウォン

可能性の追求に情熱注ぐ
ウェイ・ウォン(38)

奏  「もっと楽しんで弾いたら?」

 来日して4年目のある日。親友の言葉にハッとした。幼少から始めた琵琶は体の一部のような存在。楽しいか楽しくないかなんて考えたこともなかった。

 文化大革命が始まった66年、上海に生まれた。琵琶を始めたのは6歳のとき。「どうせやるなら1番に」。全長約120pもの大人用の琵琶を弾いていたことからも伺える「負けず嫌い」を力に、「天才少女」と呼ばれるまでになった。

 上海音楽大学院在学中、数々のコンクールで最優秀賞を受賞。88年、国立上海民族音楽団に入団。90年、日本の古楽器を復元演奏する楽団「天平楽府(てんぴょうがふ)」への入団を機に来日した。

 日本に来て14年。「自分が楽しくなければ聞いている人も楽しくない」。親友の言葉をきっかけに足りないものに気づき、琵琶の可能性を追い求めるようになった。さまざまな楽器とのセッション、ジャズやフラメンコなど他ジャンルとの共演。琵琶の魅力を一人でも多くの人に伝えることに情熱を注いでいる。

 力強い一方、女性ならではのしなやかさを秘めたウェイ・ウォンの音。「風が吹くように心にそっと届けたい」。今、そう思っている。


エール 忘れていた音

劇作家・野田秀樹さん
 94年に上演した「キル」のオープニングで演奏してもらいました。ロンドンから帰国して日本のみなさんに届ける最初の作品でしたので、気合を入れて選んだのを覚えています。なつかしい、心のどこかに忘れていた響き。最近では、女子十二楽坊らの活躍により、中国琵琶を耳にする機会が増えてよかったと思っています。ウェイ・ウォンさんには、これからもますます頑張ってほしいです。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏
 ●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
 ●ひょうたん笛(中国) 伊藤 悟
 ●オカリナ(イタリア) 宗次郎

(2004年11月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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