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2004.12.9(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 三線 さんしん( 日本)
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いつも笑顔の中心に

 テレビドラマや沖縄出身のミュージシャンによって、すっかりおなじみの三線。14世紀末に中国・福建省から伝わって以来、600年以上に渡って沖縄の人の心を支えてきた楽器だ。
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 ニシキヘビの皮の胴に3本の弦が張ってある。左手の人さし指、中指、小指のうちの1本で弦を押さえ、右手の人さし指で弦をつまびいて音を出す。

   *     *   

 この楽器が、ペンペンと音を出し、太鼓のリズムが聴こえてくると、人々は自然と立ち上がり、踊りだす。歌や踊りは幸せを呼ぶという言い伝えが沖縄の人々の心に浸透している。

 島の大部分が焼け野原となった沖縄戦のあと、絶望のどん底にいた人々は、生きる希望を音楽に求めた。「踊りたい、うたいたい」。そんな思いから、米軍から支給された缶詰の空き缶に落下傘の糸を張って、代用品にしていた。今ではお土産品にもなっている「カンカラー三線」だ。

 それから60年、今でも三線は、人の心を元気にする。東京に増えつづける沖縄料理の店の多くは、三線ライブを開くと立ち見が出るほどの盛況ぶりだ。

 故郷を思い、うたい踊る。忘れていたものを思いだし、元気になれる。沖縄の笑顔の輪の中心には、いつも三線がある。

 


◆よなは徹「カチャーシー・ア・ゴーゴー」(写真)
 三線の演奏に合わせて、各自が好きなスタイルで踊る「カチャーシー」。沖縄では、結婚式などの祝い事では今でも必ず踊られている。地元の人が踊るときの定番曲ばかりを集めて、よなはがプロデュースした。全11曲。2625円。

◆平安隆with吉川忠英「音遊(うとあし)び」(写真)
 平安が、日本を代表するアコースティックギタリストの吉川と組んで作った沖縄民謡のベスト・アコースティックセレクション。民謡の原曲のメロディーラインを残しながら、アレンジすることで新鮮な感覚を盛り込んだインストゥルメンタル集。全12曲。2940円。

◆「登川誠仁&知名定男」(写真)
 琉球民謡協会名誉会長で70歳を過ぎてもなお生き生きとした歌声を聴かせる登川(右)、ネーネーズのプロデューサーとして知られる知名が組んだ初アルバム。知名は、大阪で生まれ、12歳で登川に弟子入りした後、独自の世界を広げてきた。二人の巨匠が選曲した沖縄民謡を代表する1枚。全15曲。3150円。


◆島唄楽園(パラダイス)
 東京都港区六本木7丁目(六本木駅、TEL03・3470・2310、http://homepage1.nifty.com/myers/)。化学調味料を使わない手作りの本格的沖縄料理が楽しめる。沖縄産の豚を7時間も煮込んだラフテー(1260円)が人気。不定期で島唄ライブを開催=写真
 12月11日(土)、沖縄ポップスのわらぶー、12月22日(水)、八重山民謡の松竹けんしろう、12月25日(土)、女性三線デュオのぱにぱに。営業時間は午前11時〜午後2時半、午後5時〜午前0時。(日)(祝)休み。


◆年忘れ カチャーシー・ア・ゴーゴー
 12月26日(日)午後6時、東京都港区南青山5丁目のスパイラル・レストランCAY(表参道駅、TEL03・3498・5790)。
 よなは徹のアルバム発売記念ライブイベント。よなはのほか、内里美香、松田一利ら出演。本格的なカチャーシーや歌、三線を楽しめる。アルバムから「豊年音頭」「唐船ドーイ」などを演奏予定。全席自由4000円(前売り3500円)。

◆わしたショップ銀座店
 東京・銀座(有楽町駅、TEL03・3535・6991)。沖縄県の特産品約4000種類がそろう店。琉球文化体験ゾーンも。三線ライブなどのイベントも随時開催。営業時間は午前10時半〜午後7時半。

よなは徹

伝統を重んじ、今に生かす
よなは 徹(28)

奏  28歳にして芸暦25年。民謡歌手だった父の影響で、3歳から民謡や三線といった伝統音楽を習った。とはいえ、教え込まれる「英才教育」ではない。レパートリーの多くは、ラジオを聴きながら覚えてきた。いつも生活の中に三線があった。

 そんな環境で育った彼には、「伝統芸能は教えるものではなくて伝えるもの」との思いがある。沖縄の家庭では「一家に1本」あるという三線を、父から息子へ、そのまた息子へ、伝え残していくのが本来あるべき姿。だから最近の学校の授業で三線が教えられている現状に疑問を抱く。学校の授業では、土地柄や個性による違いが、無くなってしまうからだ。人の演奏を聴いて、目で追って身に付けていくことにこそ意味がある。技術の習得と同時に、演奏家や楽曲、楽器そのものへの畏怖(いふ)の念が生まれてくるからだという。

 創作活動もする彼は、1曲を作るのに、最低4、5曲は古典民謡を習得する。頼りになるのは、感性でも技術でもなく、昔の人々が作り出した作品だ。無数にある古典民謡の中から気に入ったフレーズや、リズムを探す。その歴史を重んじる姿勢こそが、数ある奏者の中で彼が脚光を浴びるゆえんだ。


エール 生活のなかに

ミュージシャン・kiroroの金城綾乃さん
 制作中のアルバムで、初めて三線を取り入れました。沖縄では、親類で集まると誰彼となく三線を持ち出し、みんなで歌ったり、踊ったりします。出身地の読谷村には、「赤犬子(あかいんこ)」という、沖縄に三線を広めた人にゆかりの場所があります。そこを通るときには手を合わせます。生活の中に、伝統芸能が息づく沖縄に、三線はなくてはならないものです。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏
 ●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
 ●ひょうたん笛(中国) 伊藤 悟
 ●オカリナ(イタリア) 宗次郎
 ●中国琵琶(中国) ウェイ・ウォン
 ●ダルブッカ(エジプト) 伊藤 アツ志
 ●バラライカ(ロシア) エフゲニー・ジェリンスキー

(2004年12月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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