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2005.1.20(木)更新  民族楽器の旅
 
民族楽器の旅 バンスリ(ネパール)
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ヒマラヤの風、運ぶ笛

 バンスリー、バーンスリーともいう。紀元前15世紀以降のヴェーダ時代から、北インドで使われていた竹製の横笛で、日本の篠笛(しのぶえ)、ヨーロッパのフルートなどの原型といわれる。ヒンドゥー教のクリシュナ神ゆかりの笛でもあり、庶民の音楽には欠かせないが、古典音楽では第2次大戦後まで使われなかった。ヒンドゥー教の僧侶にとって地中の野菜「タケノコ」は不浄。それが育った竹も不浄で、僧侶階級に属す古典演奏家が竹の笛を吹くことはなかったのだ。
約30秒、3M
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 材料となる、節間が長く太さの均一な竹は、インド、ネパール、インドネシアのバリ島と、日本の高知県にしかないもの。吹き口の側をふさぎ、指穴6カ所、最低音を決める捨て穴1カ所を開けた単純な構造だ。演奏時には曲のキーに合わせて様々な長さと太さのものを用い、素朴で柔らかな低音が特徴だ。

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地図

 唇の角度で音色を変える。重要なのは、息を途絶えさせない循環呼吸と指使いによる装飾音。1音ごとに上下や緩急をつける。小さなコブシが鈴のように音を飾る節回しが、ヒマラヤの暮らしを思わせる、あの哀愁のある響きを生み出す。

 


◆「インドのバーンスリー−−ハリプラサド・チョウラシア」
 夜に演奏されるラーガ(インドの旋法)「ブーパーリー」を収録。独奏とタブラとの合奏。インドの人間国宝、チョウラシアによる古典音楽のバンスリが聴ける。2000円。
上記CDを5人にプレゼントします
応募は1月27日まで

応募

提供
世界の民族音楽CD
カルタコム

◆インドラ「クマリ」(写真)
 一昨年リリース。シンセサイザーと競演したアルバム。オリジナル曲のほか、「コンドルは飛んでいく」のカバーなど10曲。クマリとは、今も信仰されるネパール仏教の「生きた女神」。代々4〜5歳の少女から選ばれ、崇拝されるという。2940円。問い合わせはProject−T(TEL03・5475・6913)。

◆北インド古典音楽ライブ
 2月12日(土)午後7時半、東京都杉並区西荻北2丁目の音や金時(西荻窪駅、TEL03・5382・2020)。
 バンスリ演奏は寺原太郎。武藤景介(シタール)、湯沢啓紀(タブラ)との共演で北インドの古典音楽を。2ステージ制。2600円。寺原は、千葉県船橋市の自宅でバンスリ教室も開講。詳細はファクスかEメールで問い合わせを(FAX047・421・3314、srgm@pure.ne.jphttp://www.pure.ne.jp/~fueya/)。


◆ネパールの居酒家 マーダル
 東京都品川区上大崎2丁目の、目黒ビジネスマンション5階(目黒駅、TEL03・3442・3566)。
 ネパールの家庭料理を再現したという素朴な味。レンズ豆、羊肉など、15種のカレー(682円〜)のほか、蒸しギョーザ「モモ」(630円)、豚肉のスパイスあえ「チョエラ」(735円)など=写真。ランチ(平日)は午前11時半〜午後2時半、ディナーは5時半〜11時((土)(日)(祝)(休)は6時から)。


◆映画「キャラバン」
 エリック・バリ監督。ティレン・ロンドゥップら出演。フランス、ネパール、イギリス、スイス合作。1999年。ヒマラヤ山脈を越え、ヤクを連れて塩を運ぶキャラバン。美しい映像で北ネパールの山村に生活する人々を描く。DVD4935円。問い合わせはタキコーポレーション(TEL03・3496・5775)。

◆通販サイト ティラキタ
 インドの雑貨、映画、CD、民族楽器などを扱うホームページ(http://www.tirakita.com/)。タブラ、シタールなどのほか、バンスリは4800円から購入できる。問い合わせ、注文は電話、ファクス、eメールでも(TEL・FAX=046・852・3352、toiawase@tirakita.com)。

インドラ・グルン

追い続ける魂の音楽
インドラ・グルン(39)

奏  品川から渋谷まで、寄り道をしながら3時間ほどかけて歩く。町まで何日もかけ徒歩で往復する故郷の習慣は、日本に来て16年たった今も変わらない。

 ネパールの山岳民・グルン族の村に生まれ、太鼓を得意とする音楽の村で、吹き渡る風の音を口笛で追った。自作の竹笛を吹き始めたのは5歳の頃。

 わいてくるイメージをそのまま曲にする。バンスリは、インドラにとって楽器というより、口笛、彼自身の音を増幅する、体の一部だ。

 13歳で、ネパールの人気楽団「アンナプルナ・バンド」に参加し、23歳の時初来日。外国の楽器や音楽がタブーに近かったネパールから来て、初めて外国の曲を演奏し、様々な音楽に触れた。もっと新しい音楽を知りたい、と、バンドを離れ、一人日本に残ることを決めた。

  道は平たんではなかった。音楽を離れ普通の仕事に就こうと、笛をすべて壊し、居酒屋で働いたことも。半年たった頃、再びライブの誘いを受けた。かつて使った笛が1本だけ残っていた。自分を生かしているのはこの音だ、と改めて気づいた。

 笛の音の中に、ネパールの風や山、木々の音がある。「夢は音楽を続けること」。音を糧に生き、人々にも聞いてもらう。それがインドラの生活そのものでもある。


エール 答えくれる風

アーティスト・おおたか静流さん
 出会いは『ひがらがさ』という曲。命がけの恋という究極のテーマに、最高の答えを出してくれた。笛の音は風そのものだった。山から降りたった風は、木々を愛(め)でるように恋を促すと、自分は何者でもないという顔で、幻のごとく中空の宇宙を過ぎていくのだ。恋は「死」と引き換えに永遠の契りを交わす。インドラの風に身をゆだねれば、答えが聞こえてくる。その風はよるべなく儚(はかな)く美しい。

 これまでのコラム
 
●二胡(中国) 賈 鵬芳(ジャー・パンファン)
 ●タブラ(インド) 吉見 征樹
 ●バグパイプ(イギリス) 山根 篤
 ●ケーナ(ペルー) 田中 健
 ●ジェンベ(マリ) 池田 正博
 ●馬頭琴(モンゴル) チ・ブルグット
 ●ツィンバロム(ハンガリー) 斉藤 浩
 ●古筝(中国) 伍芳(ウー・ファン)
 ●ウクレレ(米国) 高木ブー
 ●津軽三味線(日本) 上妻宏光
 ●アルプホルン(スイス) 玉川アルプホルンクラブ
 ●アルパ(パラグアイ) 上松 美香
 ●ディジュリ ドゥ(オーストラリア) 哲J
 ●ビリンバウ(ブラジル) 丸山祐一郎
 ●ウード(チュニジア) 常味 裕司
 ●マラカス(キューバ) BON−BON BLANCO
 ●ジェゴグ(インドネシア) スアール・アグン
 ●チャング(朝鮮半島) 康明洙
 ●スチールドラム(トリニダードトバゴ) カリビアン・マジック・スティール・ドラム・オーケストラ
 ●カンテレ(フィンランド) はざた雅子
 ●マリンバ(グアテマラ) 小竹 満里
 ●バンドネオン (アルゼンチン) 小松 亮太
 ●ドンブラ (カザフスタン) アイティムラティ・トルハリ
 ●尺八 (日本) 金子 朋沐枝
 ●タンバリン (イタリア) アルフィオ・アンティコ
 ●シタール (インド) 若林 忠宏
 ●ハルダンゲルバイオリン(ノルウェー) 山瀬 理桜
 ●ひょうたん笛(中国) 伊藤 悟
 ●オカリナ(イタリア) 宗次郎
 ●中国琵琶(中国) ウェイ・ウォン
 ●ダルブッカ(エジプト) 伊藤 アツ志
 ●バラライカ(ロシア) エフゲニー・ジェリンスキー
 ●三線(日本) よなは 徹
 ●パンフルート(ルーマニア) 野崎ユミカ
 ●カリンバ(タンザニア) ロビン・ロイド
 ●コカリナ(ハンガリー) 黒坂 黒太郎

(2005年1月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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