森羅万象のカムイ尊び
ビヨーンビヨーンと水が滴るように響き渡る不思議な音色。
15センチほどの長さの竹片でできたアイヌ民族の口琴・ムックリ。昔は木や動物の骨を素材にしていたともいうが、本州との交易から、やがて本州産の竹を用いる今日の姿になった。
竹片の中央に切り込みを入れ、長い舌のような形にして根元にひもを通す。半開きにした口の前でひもを引っ張って弁を振動させる。すると不思議、振動音が口内で共鳴し、想像を超える豊かで深みのある音が生まれる。自らの口を楽器にするのだが、続けて音を出すには熟練を要する。舌の動きや口の開閉、呼吸法で音色を変え、強弱をつける。奏者によって音色は千差万別。音を聞くだけで誰が演奏しているのかがすぐに分かるという。女性のための独奏楽器とされ、男性とのあいびきの連絡に奏でられたというロマンチックな逸話も残る。
メロディーを伴う曲ではなく、雨だれや鳥の鳴き声といった自然界の情景を音で描写する。古来、カムイ(神)の宿る自然を尊び、共存してきたアイヌ民族。自然との交感を導くムックリは、その精神そのものだ。
◆「ムックリの響き−−アイヌ民族の口琴と歌」(写真)
弟子らアイヌ民族の女性7人による、伝統的なムックリの演奏とウポポ(歌)を収録。弟子の代表作「親熊と子熊」や、熊送りなどの儀式で歌われるウポポなど、全31曲。3000円。問い合わせは日本口琴協会(TEL048・771・5092)。
上記CDを5人にプレゼントします
応募は2月3日まで

提供
 カルタコム
|
◆安東ウメ子「ウポポ サンケ」(写真)
04年7月にその才能を惜しまれつつも亡くなった、ウポポとムックリの名手・安東の遺作アルバム。リズムと即興性を重視した、おおらかな音楽性が心地よい一枚。伝統的弦楽器トンコリ奏者のOKIがプロデュース。全14曲。2940円。問い合わせはチカルスタジオ(TEL03・5459・3323)。
◆公開講座「ムックリに挑戦」
2月3日、17日、3月3日、17日の木、午後6時半、東京・西新宿の朝日カルチャーセンター(新宿駅、TEL03・3344・1998)。日本口琴協会代表の直川礼緒さんが講師。基本音の出し方から、様々な演奏技法まで実技指導。全4回1万3440円。会場ではムックリ(500円)の販売も。
◆ムックリ作り
2月13日、20日、3月13日の日、午後1時半、東京都板橋区赤塚5丁目の区立郷土資料館(西高島平駅、TEL03・5998・0081)。関東在住のアイヌ民族の人々を講師に招いて、ムックリの制作。当日午後0時半〜、整理券を配布。各回先着20人。無料。
同館では、2月5日(土)〜3月13日、企画展「樺太アイヌ民族誌−−工芸に見る技と匠(たくみ)」を開催。(月)休み。
◆アイヌ料理店「レラ・チセ」
東京都中野区新井1丁目(中野駅、TEL03・3387・2252)。アイヌ語で「風の家」の意味。鹿肉のステーキ(写真中央、900円)やムニニイモ(同左、700円)、ギョウジャニンニクのおひたし(同右、650円)など、北海道から材料を取り寄せた伝統的なアイヌ料理を楽しめる。ムニニイモは凍結したジャガイモを発酵させ、すりつぶした粉で作る団子。素朴な香ばしさがあとをひくおいしさ。月一度、アイヌ語講座も開講(要予約)。午後6時〜11時ラストオーダー。(月)休み。
◆アイヌ文化交流センター
東京都中央区八重洲2丁目(東京駅、TEL03・3245・9831)。アイヌ民族の文化普及を目指し97年に開館。アイヌ民族に関する図書、資料、映像など約3千点を閲覧できる。開館時間は午後1時〜9時((土)(祝)は午前10時〜午後6時)。(日)(月)((祝)を除く)、(祝)の翌日休み。
|