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乾杯 日本ワイン
今週のワイン
第一楽章
ココ・ファーム・ワイナリー
住所 栃木県足利市田島町611
電話番号 0284・42・1194
ホームページ http://www.cocowine.com
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99 第一楽章 赤
720ミリリットル 4800円
※ココ・ファーム・ワイナリーのワイン 取り扱い店リスト
http://www.cocowine.com
99 第一楽章 赤
vol.8 さらさらの絹のような舌触り
イラスト
イラスト・マリオン編集部
 栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」は、知的障害者施設「こころみ学園」の醸造所である。

 中学校の先生だった川田昇さんと子供たちが、山間の3ヘクタールの土地を開墾し、約600本のブドウを植えたのが1950年代のこと。80年になって、園生の保護者の出資によってワイナリーが設立された。

 熱意だけで何とかなるほどワイン造りは簡単ではないが、89年に招いた米国人ワインメーカー、ブルース・ガットラブさん(41)の力添えもあり、以後、ワイナリーは順調に運営されている。

 ブルースさんが学んだカリフォルニア大学デービス校は、米国におけるワイン醸造の権威であり、同校出身者は卒業後にワイナリーなどで働き、世界中で数え切れないほどの有名ワインを生んでいる。ワインができる過程でワインメーカーが果たす役割は大きく、日本酒の世界で言えば杜氏(とうじ)のようなものだろうか。知識と経験がなければできる仕事ではない。

 南西向きの急斜面で育ったブドウ、そして経験豊富なワインメーカー……。期待に胸を膨らませて「第一楽章」をグラスに注ぐ。

 見た目は「つやつやした紫色」で若々しい。「ブルーベリージャムの香り」は、熟れたブドウを思わせる。口に入れると「さらさらした絹のような舌触り」で、若いワインとは思えないほど、「柔らかく上品」にまとまっている。

 日本固有のブドウである「マスカット・ベリーA」と「ブラック・クイーン」から造られているとは思えない完成度の高さだ。ワインメーカーの腕を称賛したい。「先生と園生たちが、苦労して育てたブドウだからこそ」という思いも大切にしているに違いない。

 目の前に置かれたグラスに小さなハエが飛んできた。

 フランスでは「ブドウにムーシュ(コバエ)が集まると良いワインになる」ということわざがあるのを思い出した。


(2003年6月23日朝日新聞東京本社朝刊のマリオン紙面から)

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