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乾杯 日本ワイン
今週のワイン
バーダップ
酒井ワイナリー
住所 山形県南陽市赤湯980
電話番号 0238・43・2043
ホームページ http://www.sakai-winery.jp
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バーダップ 樽熟成
01 赤 辛口
720ミリリットル 2010円
バーダップ
vol.37 昔ながらの素朴な味わい
イラスト
イラスト・マリオン編集部
 赤湯温泉で知られる山形県南陽市は、サクランボやラ・フランスなどで県内有数の収穫量を誇るが、ブドウ栽培の歴史も古く、400年ほど前に「甲州」種の苗木が持ち込まれたという。

 赤湯にある、東北で一番古い歴史を持つ「酒井ワイナリー」は、1892(明治25)年、後に赤湯町長などを務める故酒井弥惣さんによって創設された。弥惣さんは山形に来ていた外国人英語教師からワインについて聞いたのがきっかけで「ブドウ酒」に着目したという。現在は、4代目の酒井又平さん(55)がワイナリーを取り仕切っている。

 ここでは発酵を終えたワインの酵母の澱(おり)が自然に沈殿するのを待ち、その上澄みだけをビンに詰める伝統的な手法を実践している。濾過(ろか)機を使わない、この「ノン・フィルター」によるワインは世界中で見直されているが、創業時からこの製造法を続けていることに感心させられた。

 今回紹介する「バーダップ樽(たる)熟成」(赤、01年収穫)は、「マスカット・ベリーA」「ブラック・クイーン」「メルロ」から仕込まれている。ワイン名の「バーダップ」は、ブドウ園のある「赤湯鳥上坂」の鳥上(バード アップ)から名付けたという。

 ワインは鮮やかな色合いで「ルビーのように澄んだ赤い宝石」を思わせる。グラスからは「生のブドウがつぶされ、発酵が始まった時に放たれる甘酸っぱい香り」が広がり、「清涼感のある酸味」を舌先に感じながら、飲みこむと「サラサラした木綿の触りを連想させる」素朴で自然な味わいである。ラベルのデザインもそうであるが、「相手にこびを売らない、頑固な職人かたぎ」を感じさせるワインだ。

 「評論家やプロに評価されるワインを造りたい」と、生産者なら誰もが思うことだろう。向上心はワインの品質向上につながるはずである。しかし、「昔ながらの味を一貫して守り、後世に伝えることも大切ではないか」と、考えさせられた1本である。


(2004年3月1日朝日新聞東京本社朝刊のマリオン紙面から)

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