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2005.4.6(水)更新  特集/歌舞伎座の誘惑
18代目中村勘三郎の襲名披露興行でにぎわう
 

「歌舞伎座」

 18代目中村勘三郎の襲名披露興行で、連日超満員の「歌舞伎座」。関東大震災、戦災などで、壊れたり焼けたりしながらも、歌舞伎の専門劇場として何度も復興されてきた。昭和26(1951)年に建てられた4代目は、銀座の名所でもあり、役者、観客らに愛され続けている。


   名役者を生んだ有形文化財  

劇場の最後部  年間に延べ百万人を超える人が足を運ぶ歌舞伎座は、明治22(1889)年から今の場所に立つ。正面玄関の屋根は「唐破風(からはふ)」という緩やかなカーブを描く。城の門などに使われている桃山時代の建築様式で、国の登録有形文化財に指定されている。

 玄関を入ると、赤じゅうたんが敷き詰められた階段が目の前に飛び込んでくる。客席は1階から3階まで1866席、1・2階には両脇に桟敷席がある。「セリ」劇場の最後部=写真=は好きな演目だけを楽しめる一幕見席で、最大150人を収容。襲名披露で沸いた3月の興行ではすべての幕が完売という前代未聞の記録を打ち出した。

 舞台裏の花道の奥には、役者が出番を待つ7畳ほどの小部屋「鳥屋(とや)」がある。役者の真剣な「気」が染み込んだ鳥屋口からのぞむ舞台は厳かな雰囲気だ。舞台の地下空間「奈落(ならく)」には、舞台を回転させるための鉄骨がむき出しになった装置がある。直径18メートルもあるこの装置を60年前までは人力で動かしていたという。中央には下から役者を乗せて舞台上に登場させるエレベーターのような乗り物「セリ」。大中小三つあり、小さいものは今も大道具の担当者が2人でハンドルを回して動かしている=写真。「ぐっ、ぐっ」と上がるスムーズではない動きが、昔ながらの風情を感じさせる。

 楽屋口には塩が散らばっていた。この塩は、興行の無事を祈る役者が楽屋を守るおいなりさんに手を合わせる際、身を清めるために使うもの。舞台にかける役者の思いをかいま見た。

≪ 見どころ ≫

 【4月】18代目中村勘三郎の祖父の当たり役でもある「京鹿子娘道成寺」。偶然にも時を同じくして和歌山県川辺町の道成寺では33年ぶりに秘仏・千手観音像が公開されている(4月27日(水)まで)。勘三郎の白拍子の踊りは見もの。

 【5月】「野田版・研辰の討たれ」の再演。成り上がりの武士・研辰と敵討ちを見守る群衆の心理を描く。「ウエストサイド物語」のように踊る斬新な演出も。

◆ チケット情報 

 【4月】25日(月)まで。当日発売の一幕見席は800〜1300円。
 【5月】3日(火・祝)〜27日(金)。4月17日(日)発売開始。「チケットWeb松竹」(http://www1.ticket-web-shochiku.com/p/)では15日(金)から。一幕見席あり。いずれも1階桟敷席2万2000円〜3階B席3500円。当日券は6500〜2万円。劇場窓口で午前10時に発売。詳細は問い合わせを。
 歌舞伎座=東京都中央区銀座4の12の15(東銀座駅、TEL03・3541・3131)。


   先人の姿浮かぶ特別な舞台  
魅 力 と 見 ど こ ろ を 聞 く

18代目中村勘三郎さん  襲名披露興行真っただ中の18代目中村勘三郎さんに、歌舞伎座の魅力、見どころを聞いた。

 先人たちの汗が染みついている歌舞伎座には、他の劇場にはない特別な思いがある。先代・勘三郎や諸先輩によって何度も繰り返し演じられてきた名作を、歌舞伎座で自分が舞うときは、かつて舞台の袖から目にした先人の姿が必ずといっていいほど浮かんでくる。時には、感慨に浸り、踊りながら涙が出るほどだ。その見えない力を、「歌舞伎座の怪人」と呼んでいる。

 客席にも魅力を感じる。両脇に桟敷席があり、観客に囲まれている雰囲気がたまらなく好きだ。一幕見席にいる立ち見客も歌舞伎座ならでは。同じ幕を10回以上見ている常連がいて、先代の教えで、常に目を配っている。ここの入り具合が、「幕の人気のバロメーター」。人気者となった今でも、売れ行きは人一倍気にする。

 歌舞伎は、「伝記ではなく、今を生きる人間がやるドラマ」。セリフ回しや「型」も大切だが、それ以上に「主人公がどう生きるかという人間ドラマとして見てもらいたい」。

 ニューヨーク公演や「コクーン歌舞伎」など常に新しいことに挑戦してきた。伝統ある名前を襲名しても、その気持ちは変わらない。来月の襲名披露興行では、1年8月に歌舞伎座を沸かせた劇作家・野田秀樹の作品を再演する。

役者さんに人気の店はココ!

「博多長浜屋台やまちゃん 銀座店」  けいこの合間に食べに行ったり、付き人さんが楽屋まで運んでいったりと、役者さん御用達のラーメン屋「博多長浜屋台やまちゃん 銀座店」(TEL03・5565・1838)。青いネギがたっぷり乗った「博多ネギぼっこしラーメン」(写真上、800円)に辛子高菜(100円)をトッピングするのが人気。銀座3の11の10。午前11時〜翌午前4時。(日)休み。


「ナイルレストラン」  昭和通り沿いにあるインド料理の老舗(しにせ)「ナイルレストラン」(TEL03・3541・8246)。素材はすべてインドから直輸入。定番人気は鶏の骨付きモモ肉入りの「ムルギーランチ」(同下、1400円)。「無性に食べたくなる」という勘三郎ら歌舞伎役者に限らず、多くの著名人が訪れるという。銀座4の10の7。午前11時半〜午後9時半((日)(祝)は8時半まで)。(火)休み。



(2005年4月6日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)


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