
「42年間、旧アパートにいたのよ。あの建物をずっと残しておきたかった」と同潤館3階「ギャラリー412」のオーナー、村越美津子さん(74)。最初は建て替えに反対だった。でも雨漏りがひどくて、同意した。戻ってくることに迷いはなかった。
画廊を始めたのは74年。「412」は神宮前4丁目12番地。表参道を「文化の発信地にしたい」という願いに変わるところはない。
昔は魚屋があり、豆腐屋があり。近くに川があったからコウモリもよく飛んできた。開店から30年余、書家で画家の篠田桃紅(とうこう)さんをはじめとする芸術家の紹介、絵画や詩歌、音楽の合同展などを企画してきた。
「結婚した」「子供が生まれた」と言って、また来てくれる人がいることがうれしい。「人とのつながり」を何よりも大切にしてきた。
11日から、ベルギー出身の画家の個展を開く。かつてのアパートに染み込ませてきた「文化の香り」を、これからは若者たちと一緒に、この「新居」に浸透させていきたい。