栽培用シイタケのほだ木は、種苗会社「サカタのタネ」が経営する横浜市の大型園芸店の一角にあった。ただの丸太のように見えるが、すでに種菌が埋め込まれているので、春先にはシイタケが出てくる。
同店の仕入れ先である「日本農林種菌」(静岡県裾野市)を訪ねた。富士のすその、杉の木に囲まれた「ほだ場」では、シイタケの菌打ちの真っ最中だった。
ふた夏を経て熟成
打ち込みは、2〜3月が最も適しており、俗に「ソメイヨシノが咲くまでに」と言われている。福島県から取り寄せた原木のコナラに、棒駒菌と呼ぶ菌をトンカチで埋め込んでいく。
シイタケの収穫までを「ふた夏経過」と表現する。植菌後、2年ほどかけてゆっくりと菌糸を広がらせ、静かな林の中での熟成期間を経て、ほだ木の中に「キノコの元」が準備される。木の太さと環境にもよるが、以降3〜4年は春と秋の年2回収穫できる。
園芸店やホームセンターで見かけるほだ木は、菌打ち直後の「新ほだ木」と、林で熟成させた「2年物ほだ木(完熟ほだ木)」があるが、「完熟」はすぐに収穫が楽しめて初心者向け。慣れてくると、電気ドリルで穴を開けて菌を打ち込み、じっくり楽しみながら育てる人もいるという。
シイタケの発生には温度と湿度が大きくかかわる。ほだ木が直射日光を浴びたり乾燥しすぎると発生しない場合がある。同社の佐々木進さんは「ほだ木の状態をよく見て、草花をかわいがるように育ててほしい」と話している。
保育園児も挑戦だ
ほだ木の購入者は、中高年男性の園芸愛好家が多いが、子供たちの情緒育成などのために購入する教育機関も少なくない。
横浜市美しが丘保育園はいま、新年度の年長組の園児らでシイタケを育てようと計画している。斉藤ケイ子園長は「何でも畑から出来るわけじゃない。シイタケは木から出てくるのだと知ったら、子どもたちはびっくりするんじゃないかしら」。成長を見つめる園児たちの歓声が聞こえてきそうだ。