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2006.5.10(水)更新  特集/輝く!シニア
 団塊の世代が定年を迎える時代。いままでの「お年寄り」像ではとらえきれない「新シニア」が増えている。昔からの夢をかなえたり、新しいことに挑戦したり、活動的な生き方は輝いている。

蜷川さん率いる演劇集団
人生経験を演技に

「さいたまゴールド・シアター」
 初顔合わせは笑顔で(前列中央が蜷川幸雄さん)
 =さいたま市の「彩の国さいたま芸術劇場で」で。
 演劇経験の有無ではなく、歩んできた道のりの長さと、新しい一歩を踏み出す「情熱」――演出家の蜷川幸雄さん(70)が率いる55歳以上の演劇集団「さいたまゴールド・シアター」が、「彩の国さいたま芸術劇場」を本拠地に先ごろ、誕生した。47人の団員は55〜80歳、平均年齢は66・6歳。元会社員もいれば、主婦もいる。
 劇団の目標は、演劇畑を歩く玄人とは違う、年輪を刻んできた人が作る新しい舞台。老後の道楽ではないプロの俳優をめざそうと、あえて「シルバー」を上回る「ゴールド」を劇団名にとった。
 3月のオーディションには、若いころの夢に再トライした人、退職を機に何かに挑戦したかった人など、1011人の中高年が集まった。選ばれた団員のほとんどが素人。セリフはどれくらい覚えられるのか、息が続く長さは。蜷川さんにも予測はつかない。レッスンは週5日、1日4〜5時間。様子を見ながらメニューを決める。蜷川さんにとっても、団員にとっても、全く新たな試みのスタートだ。
 埼玉県の高橋清さん(78)は、応募時からこれまでを振り返って「応募してよかった。人生の中で、こんなにすがすがしい緊張感が続いた時間はなかった」。東京都の高階菖子さん(69)は「人生のフィナーレに、好きなことをやりとげたいと思って……」。
 日本を代表する演出家で、劇団のまとめ役となった蜷川さんも、70歳。自らも、現状に甘んじないで歩み続ける「情熱」の人だ。人が生き抜いてきた歳月を基調にした「身体表現」。そんな、これまでになかったことへの挑戦は、自身に対するレッスンでもある。
 一人ひとりが生きてきた証しを演技として表現する、人生経験に焦点を置いた新しい舞台。来春の本舞台をめざす47人の挑戦は、いま始まったばかりだ。

ジャパンポンポン 滝野さん
滝野文恵さん  やろうと思えば何歳だって

 輝く笑顔に華麗な衣装、大切なのはチームワーク。平均年齢64歳のチアリーディングチーム「ジャパンポンポン」が、結成10年を超えた。「汗をかく、大勢で作り上げる、見せる場があることが楽しい」と、リーダーの滝野文恵さん(74)=写真、横浜市在住。発表の場は、いつも温かい声援と笑いがあふれている。
 米国にシニアのチアチームを見つけ、触発されたのが結成のきっかけ。冷ややかな目もあったが、「思いこみが原動力」と、仲間とワイワイ楽しんできた。
 会員は約30人。練習は週に1回。年に1曲ずつレパートリーを増やしてきた。6月にはアマ野球の応援やシンポジウムの前座など発表の機会もある。近く審査をして、最終的には会員を50人ほどに増やしたい考えだ。入会の条件はただ一つ。「55歳以上の女性で自称、容姿端麗」
 「やろうと思えば何歳だって」という気持ちを、同世代に伝えたいと滝野さん。60歳を超えてから、スキューバやラフティング、スカイダイビングも始めた。「何でもやってみよう」の興味心は、これから何に向かうのだろう。

「自己表現」模索する世代
50代からの生活応援雑誌「いきいき」 片寄 斗史子編集長
片寄 斗史子編集長  60歳で退職し、80歳まで生きるとして残り20年。「まだ20年もある!」という単純なうれしさより、ぼうぜんとする方が強いのではないでしょうか。体力、気力、人間関係。いずれも弱まっていくのに、青春時代のような自由な時間に再び立ち向かわなければならないからです。
 一方で、晩年に近づくほど「生きている実感」をつかみたくなります。50〜60歳は、病気にかかったり、親の介護が必要になったり、おかれる環境によっても生き方の差が激しくなる年代。しかし、最近は生き方のモデルになるような人が登場し、目につきやすくなったことで、自分に使命感を与えて自己表現をする人が多くなってきたように思います。
 「健康でほどほどお金があれば、自分らしくのびのびと生きられる」という意識は、醸成されてきたのではないでしょうか。高齢社会を引っ張るシニアが元気なら、社会全体も元気になるはずですね。
 
    50歳以上向けの雑誌続々    

 団塊世代の定年をにらみ、50歳以上をターゲットに絞った雑誌が増えている。中高年向け情報誌の走り「サライ」、姉妹誌「駱駝(らくだ)」(小学館)のほか、仕事も遊びもアクティブなシニア向け「日経マスターズ」(日経BP社)や、暮らしや生き方を追った「いきいき」(ユーリーグ)など年間購読する直販型が多いのも特徴だ。
 昨年からは、よりターゲットを絞った雑誌の創刊が続いている。定年後の生活を夫婦で楽しむための「百楽」(ケイアイ)、50代のためのサブカルチャー雑誌「団塊パンチ」(飛鳥新社)など。


(2006年5月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
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