
日本が誇る伝統和小物・風呂敷。四角い布に新たな可能性を求め、東京・日本橋にある風呂敷メーカーの4代目・美濃部順一郎さん(36)=
写真=は、「包む」だけではなく「包まれたときの美しさ」を追求している。その着想は、立体のプロともいえる建築家5組にデザインを依頼して形になった。美濃部さんと建築家のプロジェクト「ARCHITEXTURE」(アーキテクスチャー、建築+生地の造語)の「作品」が6月7日、新宿と横浜タカシマヤのリビングフロアに並ぶ。
「風呂敷をもっと日常的に使ってほしい」「和の世界だけにとどまらない身近な存在にしたい」
そんな思いは、それぞれの建築家にも伝わった。ある時、1人から凹凸のある生地で染められないか、とたずねられた。常に素材に立ち戻って考える、建築家ならではのこだわりだった。デザインだけにとどまらない積極性に共鳴した美濃部さんは、90×90センチという大きさ以外の条件を一切、無くすことにした。
提案された生地を見つけることから始め、引き受けてくれる染色工場を探し回った。その結果、それぞれの建築テーマにも通じる機能と美を兼ね備えた風呂敷が完成。古くから伝わる知恵布にまた一つ、素材を見て楽しみ、触って感じる楽しみが加わった。美濃部さんは「従来の工程を最初から見直し、改めて素材について考えるいい機会になった」と振り返っている。
かつて普段使いの布として親しまれてきた風呂敷。いま求めようと思ったら、通常はデパートの呉服売り場だ。若い人たちにとってはちょっと敷居が高いかも知れない。
「風呂敷は『ふろしき』でも『フロシキ』でもいい」。呉服売り場だけでなく、いろんな場所で扱い、目にしてもらいたい。スカーフのようにまとったり、テーブルセンターのように飾ったり、もちろん、しゃれたワイン包みなどにも。リビングフロアでの販売はその第一歩だ。
「次は女子高生に使ってもらえるような風呂敷を考えたいな」。新しい和の創造で、現代の暮らしに可能性を広げたいと思う。そこには大きな夢が包み込まれている。