秩父鉄道・上長瀞駅から歩いて3分。秩父の「わき水で作った天然氷のかき氷」を味わえる阿左美冷蔵(TEL0494・62・1119)がある。民家を改装した店には一年中、客足が絶えない。
「スーパーで買うものよりサラサラしている」「頭がキーンとならない」。初めて食べた人は、思い思いの感想を口にする。「ここの氷じゃないと子どもが喜ばない」と都心から通ってくる人もいるほどだ。
創業は1891(明治24)年。先代までは氷の卸専門業者だった。サラリーマン経験のある4代目、阿左美哲男さん(56)が、天然氷に可能性を求めて始めたのがかき氷の販売だった。
冬場は、わき水の源流に近い高野沢地区のふもとで「氷を育てている」。10月下旬、水槽の掃除をし、11月中旬から沢の水を引き始める。透明な氷に仕上げるため、一度に入れる水量の調整が肝心だ。急激に凍ると水中の不純物が混ざって白く濁ってしまう。表面から中まで、ゆっくりと凍らせなければいけない。職人の勘が頼りだ。
厚さ約15センチまで「成長」した氷は、電動カッターで50×70センチの長方形に切り出す。一つの重さは約60キロ。1回で約千枚ほどの氷がとれる。
切り出せる厚さにするまでには、最低でも20日ほどはかかる。途中、大雨や大雪が降れば、また初めからやり直し。チャンスは1、2回。この冬はまれにみる「豊作」で、3回切り出し作業ができた。
昭和初期が全盛だった氷づくりも「もはや絶滅寸前」という。最大の原因は「地球の温暖化現象」。先代のころから付けている日記によると、1月の平均気温はこの40年で3・5度上昇したという。異常気象がもたらす豪雪にでもなれば、水槽に水を引くことすらできなくなる。

シロップはオリジナル。常時6種類以上あり、季節ごとに入れ替わる。お勧めは、氷砂糖を溶かしただけの氷糖蜜。素朴な甘さが氷そのものの甘みとうまみを引き立ててくれるという。