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2006.6.28(水)更新  特集/こだわりのかき氷

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 暑さを感じたとき、てっとり早く涼を与えてくれるかき氷。氷にシロップをかけただけのシンプルな氷菓にも、こだわりを追求した逸品があります。
埼玉・秩父「阿佐美冷蔵」

天然氷のうまみと甘み

埼玉・秩父「阿佐美冷蔵」
風情ある中庭で食べれば一層おいしく感じられる
=埼玉県皆野町の阿佐美冷蔵で
 秩父鉄道・上長瀞駅から歩いて3分。秩父の「わき水で作った天然氷のかき氷」を味わえる阿左美冷蔵(TEL0494・62・1119)がある。民家を改装した店には一年中、客足が絶えない。
 「スーパーで買うものよりサラサラしている」「頭がキーンとならない」。初めて食べた人は、思い思いの感想を口にする。「ここの氷じゃないと子どもが喜ばない」と都心から通ってくる人もいるほどだ。
 創業は1891(明治24)年。先代までは氷の卸専門業者だった。サラリーマン経験のある4代目、阿左美哲男さん(56)が、天然氷に可能性を求めて始めたのがかき氷の販売だった。
 冬場は、わき水の源流に近い高野沢地区のふもとで「氷を育てている」。10月下旬、水槽の掃除をし、11月中旬から沢の水を引き始める。透明な氷に仕上げるため、一度に入れる水量の調整が肝心だ。急激に凍ると水中の不純物が混ざって白く濁ってしまう。表面から中まで、ゆっくりと凍らせなければいけない。職人の勘が頼りだ。
 厚さ約15センチまで「成長」した氷は、電動カッターで50×70センチの長方形に切り出す。一つの重さは約60キロ。1回で約千枚ほどの氷がとれる。
 切り出せる厚さにするまでには、最低でも20日ほどはかかる。途中、大雨や大雪が降れば、また初めからやり直し。チャンスは1、2回。この冬はまれにみる「豊作」で、3回切り出し作業ができた。
 昭和初期が全盛だった氷づくりも「もはや絶滅寸前」という。最大の原因は「地球の温暖化現象」。先代のころから付けている日記によると、1月の平均気温はこの40年で3・5度上昇したという。異常気象がもたらす豪雪にでもなれば、水槽に水を引くことすらできなくなる。

シロップはオリジナル。常時6種類以上あり、季節ごとに入れ替わる。お勧めは、氷砂糖を溶かしただけの氷糖蜜。素朴な甘さが氷そのものの甘みとうまみを引き立ててくれるという。

天野屋

冷たい甘酒に盛って

天野屋
 神田明神へと続く参道入り口脇に店を構えて160年。天野屋の名物は甘酒だ。栄養価が高く夏バテに効くと、江戸時代から飲まれてきた。酒かすではなく、米を発酵させた糀(こうじ)から作るので「赤ちゃんの離乳食にもなっていた」と、6代目店主の妻・天野さかえさん(49)。その糀は、店の奥につながる地下6メートルに広がる天然の土室(むろ)で作られる。
 神田祭が始まる5月半ばになると、冷やした甘酒に氷を盛った甘酒氷(写真、500円)がメニューに加わる。つぶつぶとした糀と氷が混じり、さっぱりした味わい。自然な甘さで、ほのかに糀が香る。10月初旬まで。


天野屋  東京都千代田区外神田2丁目(御茶ノ水駅、TEL03・3251・7911)。午前9時〜午後6時((日)(祝)は5時まで)。(日)休み。

わかば

たい焼きの餡生かし

わかば
 尾まで詰まった粒餡(あん)。「わかば」=写真=のたい焼きは、そのぜいたくさと、ほどよい甘さで定評がある。1953(昭和28)年の創業以来、多くの人に好まれてきた。冬場は、1日約3千匹を職人5人で焼く。近くの上智大の学生や会社員など、客足は絶えない。
 夏になるとかき氷。あんが主役だ。厳選した小豆を煮ること約4時間。「創業時からの砂糖と塩の配分が甘さを決める」と、3代目小澤市明さん(52)は言う。一晩寝かせてから自家製シロップとまぜ、その上に氷を盛って、抹茶やミルク、白玉をトッピング(682円)。飽きのこないあんの甘さが、冷たい氷になじむ。梅雨明けから。


わかば  東京都新宿区若葉1丁目(四ツ谷駅、TEL03・3351・4396)。午前9時〜午後7時。(日)休み。

愛玉子

下町に残る台湾の味

愛玉子
 店名でもある愛玉子は「オーギョーチイ」と読み、台湾産の木の実のこと。乾燥した実の種を木綿の袋に入れて水の中でもみ、しみ出た液で固まったものを食べる。ほとんど味はないが、ゼリーでも寒天でもない、ほどよい弾力がのどに心地いい。
 店主の長津登さん(70)の父、正勇さんが1934(昭和9)年に開店。歌手の藤山一郎や日本画家の東山魁夷らが常連だった。戦争による原料難で閉めた店を登さんが再開。アイスクリームや黒蜜と合わせるなど食べ方に工夫を凝らした。夏は「氷オーギョーチイ」(写真、500円)。レモンシロップがかかった氷に、歯ごたえが加わる。70年以上も変わらない下町の味だ。


愛玉子  東京都台東区上野桜木2丁目(日暮里駅、TEL03・3821・5375)。午前10時〜午後6時。不定休。

(2006年6月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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