美博ノート

「雨乞面 三日月」/「顔」

ナイン・ストーリーズ(豊橋市美術博物館)

「雨乞面 三日月」室町時代

「雨乞面 三日月」室町時代

  • 「雨乞面 三日月」室町時代
  • 中村正義「顔」1976年

 開館40周年を記念し、館蔵の美術品と考古・歴史資料を九つのテーマで紹介する今展。

 「顔 造形の原点」のテーマでは、日本画家・中村正義(1924~77)の自画像と、室町時代の面を対比させる。

 若くして日展の審査員になった中村だが、師とのあつれきなどから61年に脱退。

 その後は原色で描いたり、ボンドを使ったりして日本画壇からは異端視された。

 数百点にものぼる自画像は、初期のものは本人に似ていたが、次第に描写が簡略化され、他の誰かでもありうる風貌となる。

 一方、神に祈りを捧げるために作られた「雨乞面 三日月」は個人を描写したものではないが、特定の誰かに似ているようにも見えてくる。

 学芸員の丸地加奈子さんは「双方を見比べることで、個性と普遍性の曖昧な境界線を感じてほしい」と話す。

(2019年10月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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