
「茶席起図 蓮華庵」
茶 岩瀬文庫資料にみる茶のさまざま(西尾市岩瀬文庫)
近世の茶室の造りを今に伝えるのは、折り畳み式の立体見取り図「起図」だ。現在の設計図と建築模型を合わせたようなもので、図の中には寸法や素材、意匠なども書き込まれている。
岩瀬文庫所蔵の「茶席起図」は、杉製の箱の中に45点収められている。千利休や小堀遠州といった茶人が考案した茶室のほか、付随する生け垣や雪隠(便所)なども含まれる。「後世に記録として作られたのではないかと思います」と学芸員の青木眞美さん。
本作はその一つで、江戸千家の流祖・川上不白(1719~1807)が1755年に建てた茶室・蓮華庵。江戸の神田明神(東京都千代田区)境内にあった。直径45センチほどの床柱は鎌倉・建長寺の山門の古材を使い、床の間横に利休の肖像をまつる持仏堂を設けていたことがわかる。
(2019年12月3日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)
嗜好品の代表格である「茶」。日本の茶祖とされる鎌倉時代の禅僧・栄西が、中国・宋から茶の種をもたらしたと言われる。本展では、薬としての茶の効用を記した本草書、江戸時代の茶道書や名物茶器の図譜、茶人を題材にした滑稽譚など41点で茶をめぐる文化を紹介する。