読んでたのしい、当たってうれしい。

佐藤ひらりさん
「クロフネファーム」のキリンのタマゴの芋けんぴ

「クロフネファーム」のキリンのタマゴの芋けんぴ
「クロフネファーム」のキリンのタマゴの芋けんぴ
「クロフネファーム」のキリンのタマゴの芋けんぴ 佐藤ひらりさん

 初めてこの芋けんぴに触れたとき、まるでつまようじのような細さに驚きました。しかし一口かじると、芋本来の濃厚な甘みとフレーバーのおいしさが1本にぎゅっと詰まっていて、食べることが好きな私も大満足。表面はサラッとしたさわり心地です。

 魅力的なのは、均等ではない様々な形があること。作り手の皆さんの個性が表れている気がするんです。

 障害者の就労支援施設でもあるレストラン「クロフネファーム」を立ち上げた講演家、中村文昭さんと出会ったのは中学生の時。私の歌に興味をもってくださり、講演会で歌わせていただくようになりました。レストランがコロナの影響で休業せざるをえなくなり、「利用者が働き続けられるように」との思いでお菓子の販売を始めたそうです。

 芋けんぴのように、食べたときにカリッと音が鳴る食べ物にひかれます。咀嚼(そ・しゃく)音を録音して聞くくらい、小さい頃から「音」に興味津々でした。体内、特に骨に響いて伝わる音や、部屋の壁から跳ね返ってくる自分の声に耳を澄ませて観察することは、歌に対して研究気質な私に通じるものがあると思います。よく、ステージの帰りの車中で歌の余韻に浸りながら、ポリポリと夢中になって食べています。

(聞き手・田中沙織)

 ◆三重県伊勢市小木町560の8(問い合わせは0120・81・9620)。
 350円。フレーバーは10種類前後。
 午前11時半~午後5時。(月)休み。オンライン販売あり(味はランダムで届く)。

 「クロフネファーム」 公式サイト
https://kurofunefarm.com/


 さとう・ひらり シンガー・ソングライター。
 2001年生まれ、新潟県三条市出身。
 生まれつき目が見えない。2021年の東京パラリンピック開会式で国歌を独唱。企業や学校への楽曲提供も行う。

 佐藤ひらりさん 公式サイト
http://www.hirari.club/

(2024年4月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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