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アートリップ

水の宇宙船
葛西秀樹作(名古屋市東区)

地上14メートルの水辺を空中散歩

長さ106×幅36メートル。愛知芸術文化センターの展望回廊から見下ろせる=松谷常弘撮影
長さ106×幅36メートル。愛知芸術文化センターの展望回廊から見下ろせる=松谷常弘撮影

 大勢の人が行き交う名古屋市営地下鉄の主要駅・栄駅。地下道を進み東改札口を出ると、突然上空が開け、巨大な楕円形が浮かび上がった。立体型公園「オアシス21」の屋上階にあたる、ガラスでできた水張りの大屋根だ。生命の水をイメージし、「水の宇宙船」と名付けられている。

 オアシス21は、市の旧栄公園再整備により、2002年に誕生した。デザインを手がけたのは大林組の1級建築士、葛西秀樹さん(52)。コンペに出された6案の中から採用された。地下に広場や商業施設、1階にバスターミナルを併設する一大プロジェクトだったという。「快適に過ごせる空中回廊を造り、人の巡りを良くしたかった」と葛西さんは話す。

 空中回廊とは、屋上階の水面を囲む通路のこと。栄の街を一望しながら、地上14メートルの空中散歩が楽しめる。斬新な外観だが、コストは抑えられていて、エコな仕様にもなっている。宇宙船は高架水槽の役割も担い、施設内のトイレに給水しているため、無駄がない。「アイデアてんこ盛りでお値打ちなところが名古屋らしい、とよく言われました」と葛西さん。

 夕暮れ時、地元の人々や観光客が涼みに訪れていた。札幌市から友人に会いに来ていた20代の女性は、「空に浮かぶ湖みたい」と夢中で撮影していた。夜のライトアップを目当てに訪れる外国人旅行客も多い。昼夜問わず人が巡り続ける、名古屋のランドマークになっている。

(星亜里紗)

 オアシス21

 地上階は芝生広場「緑の大地」が広がる。床照明が組み込まれた7本の光の道や、「水の宇宙船」の季節ごとに異なるライトアップが夜景を演出。


ぶらり発見

鉄板イタリアン オアシス21と連結している愛知芸術文化センター(問い合わせは052・971・5511)には、誰でも利用できる「アートライブラリー」がある。美術や音楽、演劇に関する9万7千冊以上の図書のほか、楽譜やCDなどを収蔵。(月)と第3(火)休み。

 栄駅から徒歩約10分のキッチンはせ家(問い合わせは971・3192)は、1963年の創業当時から変わらない味わいのナポリタン「鉄板イタリアン」(写真、900円)を提供。卵を敷くのが名古屋流だ。(日)(祝)と第3(土)休み。

(2019年7月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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