五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
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19世紀、東京国立博物館蔵 Image:TMN Image Archives |
ヘビや蛾(が)、カタツムリなどの生き物がまるで生きているように高浮彫(たかうきぼり)で絵皿に表現されている。中世・ルネサンス期に活躍したフランスの陶工ベルナール・パリッシーの作品を復刻した。作者はわかっていない。
19世紀後半、欧州では植物の曲線美をいかしたアールヌーボー文化が花開く。動植物を題材にしたパリッシーの作品も再び脚光を浴びた。
この絵皿は1876(明治9)年、英サウス・ケンジントン博物館から日本に寄贈された。私財をなげうって研究に没頭したパリッシーの逸話はサミュエル・スマイルズの「西国立志編」などで明治の日本人に広く知られていた。欧州の流行を作品にいかした陶工、宮川香山もこの絵皿を目にしただろうか。