五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
踏むな 育てよ 水そそげ――。知的障害児施設「八幡学園」(千葉県市川市)の教育理念の下、貼り絵の才能を開花させた山下清(1922~71)。本展では、学友の作品とともに125点が並ぶ。
18歳で学園を抜け出し、線路伝いに街から街へと放浪を重ねた清。時折、学園に戻っては、目に焼き付けた旅先の美しい風景を絵に残した。
本作は、27歳の時のもの。常磐線の大津港駅(茨城県)~勿来(なこそ)駅(福島県)間にある第二勿来トンネルを描いている。影の表現や緻密(ちみつ)な描写からは、「日本のゴッホ」と称された清の高い技術がうかがえる。
「障害という枠を超えて放たれる、優れた造形力と豊かな感性は、見る人の心に響きます」と、瀬戸市美術館学芸員の宮田悠衣さん。