美博ノート

「画本虫撰」/「緑色の善良な小市民」

尾州徳川の花相撲(ヤマザキマザック美術館)

 静かな水辺の一コマ。身を潜めて獲物を狙うカエルと、視線の先で葉を食べる虫。喜多川歌麿(?~1806)の狂歌絵本「画本虫撰(えほんむしえらみ)」(写真上、1788年)は精密な描写で、小さな生き物の世界を切り取る。

 似た構図のペン皿「緑色の善良な小市民」(同下、1900年)を手がけたのは、アール・ヌーボーを代表する工芸家エミール・ガレ(1846~1904)。ガラス作品や家具は、植物のような曲線美が特徴だ。

 ガレは、自宅の庭で日本の植物400種以上を育て、遺品には日本の植物図譜もあったという。学芸員の坂上しのぶさんは「ありのままの自然を取り込み、物語性豊かに表現した。日本の自然観が影響を及ぼしている」と解説する。

(2018年6月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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