五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
静かな水辺の一コマ。身を潜めて獲物を狙うカエルと、視線の先で葉を食べる虫。喜多川歌麿(?~1806)の狂歌絵本「画本虫撰(えほんむしえらみ)」(写真上、1788年)は精密な描写で、小さな生き物の世界を切り取る。
似た構図のペン皿「緑色の善良な小市民」(同下、1900年)を手がけたのは、アール・ヌーボーを代表する工芸家エミール・ガレ(1846~1904)。ガラス作品や家具は、植物のような曲線美が特徴だ。
ガレは、自宅の庭で日本の植物400種以上を育て、遺品には日本の植物図譜もあったという。学芸員の坂上しのぶさんは「ありのままの自然を取り込み、物語性豊かに表現した。日本の自然観が影響を及ぼしている」と解説する。