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美博ノート

「ビック:走る、走る、ビック・ボールペンが走る」

サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法(三重県立美術館)

(C)Annie Charpentier 2018
©Annie Charpentier 2018

 仏のレイモン・サヴィニャック(1907~2002)が最も多く広告を手がけた企業は、文具メーカー、ビック社。ブランドのトレードマークのボール状の頭のキャラクターもサヴィニャックの作品だ。

 男の子が走ってボールペンを追いかけている本作。「走る、走る、ビック・ボールペンが走る」というキャッチフレーズは、仏の有名な童謡「走る、走る、イタチくん」をもじったもの。ペンの形状と滑らかな書き心地を、イタチの細長い体と素早い動きになぞらえ、広告を見た人々の心をつかんだ。本作は自転車レースの宣伝車などにも使われ、大きな広告キャンペーンとなった。ビックのボールペンは、その後広く普及していく。

(2018年7月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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