五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
つややかな白磁タイルを並べた茶室。作者の石井春は、ポルトガルのタイル「アズレージョ」の技法を学ぶ造形作家だ。絵や文様が描かれ、建物を彩る伝統的なアズレージョ。石井は独自の表現でオブジェやタイルを手がけている。
一畳台目とは、畳2畳よりやや小さい最小の茶室のこと。20㌢角のタイルをL字形につないだ部分は「水の庭」をイメージした。鮮やかな青色の中に現れた、雪の結晶のような模様が特徴だ。「静かな雨の中、穏やかな気持ちで過ごせるように」と石井は話す。
本作は日本で制作したが、ポルトガルでもほぼ同じ作品を作った。「日本的なものを意識して作ったことはない」というが、「日本人ならではの感性は、拭おうとしても自然と表れる。皆さんの中にもあるもので、もっと誇りを持っていいと思う」。