読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

しづく

INAXライブミュージアム 「石井春 時を旅する色・形・窯」

セラミック(京都の土)
 2022年 直径2.5㌢×厚さ5㍉

 小さな青色の「粒」が、展示室に降り注いでいるようだ。その数、千個以上。造形作家の石井春がセラミックで「しとしとと静かに降る雨」を表現した。


 素材として京焼の土を選んだ。ポルトガルの装飾タイルに魅せられて約30年、現地と日本を行き来して活動してきた石井は京都に暮らした経験もある。京都の寺社や庭園の雰囲気にも影響を受けたという。


 本作を竹中大工道具館(神戸市)で初公開した際は、粒を壁一面にちりばめたが、今展ではテグスを使って立体的に展示する。窓から差す光を受け、床面に丸い影をいくつも落とす。


 展示室は、土管工場だった築100年余りの建物。建築とのコラボレーションを多く手がけている石井は、「建築がとても好き。建物や空間との関係にはとても気を使う」と話す。

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 五十三次 京三條橋 江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。

  • 五十三次 府中 日暮れて間もない時分、遊郭の入り口で、ちょうちんを持った女性と馬上の遊客が言葉をかわす。馬の尻にはひもでつるされた馬鈴。「りんりん」とリズム良く響かせながらやってきたのだろうか

  • 五十三次 大磯 女性を乗せ、海沿いの道を進む駕籠(かご)。担ぎ手たちが「ほい、ほい」と掛け声を出して進んだことから「ほい駕籠」とも呼ばれた。

  • 三菱十字号 トヨタ博物館「お蔵出し展」

新着コラム