読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

金銅五鈷鈴(こんどうごこれい)

愛知県美術館「コレクションズ・ラリー」

平安時代(12世紀)、愛知県美術館蔵

 本作は、密教の儀式で用いられる仏具「金剛鈴」の一種。鈴を振り鳴らすことで仏の注意を引き、歓喜させるという。


 平安時代、本格的な密教が空海ら留学僧によって中国から日本に伝えられた。本作は現存する金剛鈴としては古式の優品という。


 愛知県陶磁美術館学芸員の大西遼さんは、「やきものではなかなか難しいシャープな形が魅力的。シンプルながら密教の世界観が凝縮されている」と説明する。


 鈴の上部に付いた五つのとがった爪状のパーツは、古代インドの武器に由来するという。「鋭い切っ先は、武器をほうふつとさせる。インド、東アジア、日本という仏教の空間、時間的な広がりを感じられます」と大西さんは話す。


 「祈り」がテーマのコーナーでは同様に爪状のパーツが両端についた金剛杵、金剛鈴と金剛杵(しょ)を置く金剛盤なども展示している。

 

 ※会期は4月14日まで。

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 五十三次 京三條橋 江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。

  • 五十三次 府中 日暮れて間もない時分、遊郭の入り口で、ちょうちんを持った女性と馬上の遊客が言葉をかわす。馬の尻にはひもでつるされた馬鈴。「りんりん」とリズム良く響かせながらやってきたのだろうか

  • 五十三次 大磯 女性を乗せ、海沿いの道を進む駕籠(かご)。担ぎ手たちが「ほい、ほい」と掛け声を出して進んだことから「ほい駕籠」とも呼ばれた。

  • 三菱十字号 トヨタ博物館「お蔵出し展」

新着コラム