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美博ノート

中色縮緬地御所解文小袖
(なかいろちりめんじごしょどきもんこそで)

装いの美 大名のおしゃれ(徳川美術館)

 


美博ノート
中色縮緬地御所解文小袖(なかいろちりめんじごしょどきもんこそで)

 

 大名家の装いには身分や場面に応じた細かい決まりがあったが、普段着には好みに応じた色や文様が使われた。本展では尾張徳川家の遺品などから、装束や調度品115点を展示。時代を彩ったおしゃれを紹介する。

 中色と呼ばれる鮮やかな水色の小袖は、14代・慶勝(よしかつ)の正室、貞徳院矩姫(ていとくいんかねひめ)が準正装として着用していた。縮緬地に「源氏物語」の「花宴(はなのえん)」と「賢木(さかき)」の場面を表す桜や松、御殿などが刺繍(ししゅう)されている。

 古典文学を題材にした文様を「御所解文様」と呼び、大名家の女性の小袖によく用いられた。知的教養も美しさの条件と考えられていた。

 この小袖の図案「小袖雛形」も同時展示。姫君からの細かい注文が記されており、強いこだわりがうかがえる。

(2014年11月26日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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