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ぶらり、ミュージアム

赤レンガが作品を引き立てる美術館

(東京ステーションギャラリー)

創建当時の赤煉瓦(れんが)を生かした2階展示室
創建当時の赤煉瓦(れんが)を生かした2階展示室
創建当時の赤煉瓦(れんが)を生かした2階展示室 おもむきのある螺旋階段 2階回廊からドームを見下ろす 廣村正彰氏が赤レンガをそのままデザインした「Brick Block Memo」

 大正3(1914)年に完成し、今年で開業100周年を迎える東京駅。建築家・辰野金吾が手掛けた赤レンガ作りの豪華な建物(重要文化財)は日本の玄関口にふさわしい風合いをかもし出しています。その東京駅の駅舎内にある東京ステーションギャラリーは2012年に新たなロゴマークと共にリニューアルオープンを果たしました。

 Tokyoの「T」の字か、はたまたレールをモチーフにしたものか、捉え方によってはいかようにも見えますが実はこのロゴマークはレンガを積み重ねた目地の部分を表しているそうです。普段は陰の部分である目地を前面に出した「ルビンの壺」のようなデザインです。

 手掛けたのは、グラフィックデザイナーの廣村正彰氏。東京工芸大学芸術学部教授、アーティスト(「始発電車を待ちながら」にも出展)とマルチな才能を発揮している廣村氏。新たに東京ステーションギャラリーのロゴを作るにあたり、冨田章館長はじめとする美術館スタッフに徹底的な聞き込みを行い、約1年間かけて作り出したそうです。

 東京ステーションギャラリーは以下の3つのコンセプトで展覧会構成をしています。

 1)近代美術の再発掘 2)駅中の美術館として鉄道、建築、デザイン展の充実 3)現代アートを分かりやすい形で紹介。これらのコンセプトを「つなぎ合わせる」意味もロゴデザインには付与されています。

 そしてまた場所柄、「人と人を結ぶ」「人とアートを結ぶ」といったコンセプトも内包しているそうです。駅舎の中にあるという他の美術館にはない特徴、利点をシンプルな中に上手く表現されています。館長はじめとする美術館スタッフの想いも込められたとても素敵なロゴデザインです。

 ちなみに、建物を支える構造用レンガ(イギリス積み)をそのまま利用し展示空間としているのも他の美術館にはない大きな特徴のひとつです。ホワイトキューブで相対するのとは違った温かみのあるくつろげる空間は、気構えることなく作品と向かい合える「ここにしかない場所」でもあります。かつてバルテュスがここで自分の個展を開催したいと願ったという理由もよく分かります。

 東京ステーションギャラリー
 
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/

 廣村デザイン事務所
 
http://www.hiromuradesign.com/

 

耳よりばなし

 東京ステーションギャラリー2階にあるミュージアムショップ TRAINIART(トレニアート)は他と比べて圧倒的に「鉄分」の高いショップです。展覧会関連グッズの他に鉄道関連のグッズを取りそろえています。寝台列車のヘッドマークをあしらったグッズや、山手線チロルチョコなど、鉄道ファンならずとも思わず手が伸びてしまうユニークな商品であふれています。また廣村正彰氏が赤レンガをそのままデザインした「Brick Block Memo」(1890円)はここでしか入手できないレアな逸品。お土産にもぴったりです。
 TRAINIART(トレニアート)
 http://www.ejrt.co.jp/trainiart/


データ

東京ステーションギャラリー

〒100-0005
東京都千代田区丸の内1-9-1
開館時間:午前10時~午後6時(金曜日は午後8時まで)
※入館は閉館30分前まで

休館日:月曜日・展示替期間・年末年始
電話:03-3212-2485
URL:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2014年3月10日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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