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ひとえきがたり

住吉公園駅
(大阪府、阪堺(はんかい)電気軌道上町線)

朝の終電車 惜しまれながら

当初一体だった南海線の住吉大社駅が1980年に高架になり、切り取られた形で残った駅舎=大阪市住吉区長峡町
当初一体だった南海線の住吉大社駅が1980年に高架になり、切り取られた形で残った駅舎=大阪市住吉区長峡町
当初一体だった南海線の住吉大社駅が1980年に高架になり、切り取られた形で残った駅舎=大阪市住吉区長峡町 地図

 平日の朝、路面電車の車内で発車を待つ乗客はわずか10人。ゆったりと席に座り、書類に目を通すサラリーマンや勉強に励む女子高生――。午前8時24分、チンチンとベルが鳴る。大阪・天王寺駅前行きの今日の最終電車が、人や車が行き交う道路の真ん中を走り抜けていった。

 ここ住吉公園駅は、毎年、約200万人が初詣に参拝するという住吉大社の西に位置する。一駅隣の住吉駅から、200メートルしか離れていない上町線の終点駅だ。また南海線との乗換駅として、住吉大社駅の駅舎と並ぶ。

昨年3月、天王寺駅前のあべのハルカス開業に合わせてダイヤを改正。運行の効率化をはかった結果、朝7時から8時台のみに。一日の発着は132本から10本に、土曜休日は8本になった。「日本一早い終電」と話題となったが今年8月、来年1月31日に住吉駅から住吉公園駅区間の廃止を決めた。一日の平均乗降客が約70人まで落ち込んだのと、老朽化した線路の改修に5億円かかることなどが理由だった。「駅がなくならんといて欲しいな」と地元で和食店を営む大木戸豊さん(61)は惜しむ。

 3年前から、貸し切り路面電車などで飲食を楽しむバルを主催する「大阪ちん電バル」事務局長の山田重昭さん(51)は「廃線後も、住吉大社門前を活性化する観光拠点として駅の活用を提案しています」。大正初期築といわれる駅舎の保存にもつなげたいとの思いもある。

 最後の正月も、毎年恒例の初詣客を運ぶ臨時電車を走らせ、一日約1600人の乗客を見込む。

文 石井広子撮影 楠本涼 

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 阪堺電気軌道上町線は天王寺駅前駅(大阪市阿倍野区)と住吉公園駅(住吉区)を結ぶ4.6キロ。住吉駅では上町線と、恵美須町駅(浪速区)と浜寺駅前駅(堺市)を結ぶ阪堺線の2路線が複雑に交差し「ダイヤモンドクロッシング」と呼ばれている。

 東天下茶屋駅から徒歩8分の安倍晴明神社は平安時代の陰陽師安倍晴明を祭る神社。社務所では安倍晴明公顕彰会による占いも実施(1件2000円から)。問い合わせは阿倍王子神社内(06・6622・2565)。

 帝塚山三丁目駅から徒歩4分の万代池公園は周囲約700メートルの池があり桜の名所として有名。

 

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住吉大社

 駅前の住吉大社は「摂津国一の宮」と称され、本殿は国宝指定。太鼓橋と呼ばれる「反橋(そりはし)」は午後9時までライトアップされ、関西夜景100選にも選定。10月31日(土)と11月1日(日)には、大社周辺の街中で露店などが並ぶ「すみ博」を開催。

(2015年10月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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