読んでたのしい、当たってうれしい。

アートリップ

マッテルモン 
荒井良二作(大分市生石(いくし))

花開く未来 待ってる門

オブジェはFRP製=滝沢美穂子撮影
オブジェはFRP製=滝沢美穂子撮影
オブジェはFRP製=滝沢美穂子撮影 「たいようをすいこむモン」。生命体が海から陸へ上がり、太陽のパワーを受けるイメージ=滝沢美穂子撮影

 穏やかな波が打ち寄せる大分港。晴れ渡った青空に、真っ赤な門がそびえ立つ。高さ約10メートル、幅15メートル。その上には、丸いオブジェがちょこんと腰かけ、大海原を眺めている。

 ここは16世紀中ごろ、南蛮貿易で栄えた。1960年代以降は、貨物船などが往来し発展したが、90年代初頭、物流拠点が移転し、倉庫街が廃虚に変貌(へんぼう)。そこで、地元企業によるNPO大分ウォーターフロント研究会がアートで港を活性化しようと、2013年、絵本作家の荒井良二さん(61)に作品を依頼した。

 立体作品は初めてだったという荒井さん。残っていた赤い門構を見て「人や荷物がここを通って、港から街に降り立つイメージが湧いた。神聖な鳥居にも見えました」と話す。

 そして、原案として絵本を作成。主人公はつぼみの形をしたキャラクター「マッテルモン」。そのオブジェを14年に設置した。名の由来は「何かを待つ門」。「ダジャレだけどね」と荒井さんは笑う。瞳に描き込んだ「希望」の2文字には「希望がかなうのを待っていれば未来につながる」との意味を込めた。「待ってるもん」を70言語に訳した文字と、色鮮やかな絵を門柱に描いた。

 別府湾を望む公園には、散歩や釣りを楽しむ人々の姿――。さわやかな潮風が、門を吹き抜けていった。

(石井広子)

 かんたん港園

 大分港西大分地区のウッドデッキと芝生が広がる公園。昔の倉庫街を利用したライブハウスやカフェなどが立ち並ぶ。浜の市「フードフェスタ」などのイベントも開催。

 園内の「マッテルモン」は2017年3月、市内の優れた景観を表彰する「大分きれい100選事業」で特別賞を受賞した。同作品から車で約10分の高崎山自然動物園おさる館横の芝生広場内にも、荒井良二作の「たいようをすいこむモン」という作品がある。

 《アクセス》西大分駅から徒歩3分。


ぶらり発見

ピスタチオフィグ

 大分港そばの丸玉屋洋菓子店(TEL097・594・0235)では、「ピスタチオフィグ」(写真、420円)が人気。シチリア産ピスタチオに、白イチジクとショコラで甘さと酸味を加えたムース。隣接のカフェ「かもめのジョナサン」でも、同洋菓子店のケーキを提供している。

 西大分駅からバスで約10分の大分マリーンパレス水族館「うみたまご」(TEL534・1010)は、水量1250トンの「大回遊水槽」で、大分県近海のサメやエイなど約90種1500匹を展示している。2200円。

(2017年9月19日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

アートリップの新着記事

新着コラム