アートリップ

風媒銀乱 
伊原通夫作(東京都中央区)

湾の夕景、カメラ手に続々

レインボーブリッジや都心の高層ビルなどを望む夜景スポットとしても知られる=谷本結利撮影

レインボーブリッジや都心の高層ビルなどを望む夜景スポットとしても知られる=谷本結利撮影

  • レインボーブリッジや都心の高層ビルなどを望む夜景スポットとしても知られる=谷本結利撮影
  • 立方体は鏡面仕上げ。周囲の景色が映り込む=谷本結利撮影

 夕闇迫る東京湾。海の玄関口晴海客船ターミナルで、カメラを持った人々に行き会った。レンズを向けるのは、ターミナルの先にあるオブジェと、その向こうに広がる湾岸の景色だ。

 海岸べりの人工池に設置されたステンレス製のオブジェは、まるで海の上にあるかのようだ。高さ数メートルの枠に付いた大小の立方体が、海風を受けてゆっくりと揺れる。

 風を媒介に銀が乱れる――。名前の通り、風と共鳴する構造だ。作者は、米ボストン在住の彫刻家伊原通夫さん(89)。「海面や大きく開けた空間など、周囲の自然と彫刻が密接につながるようなイメージ」と話す。

 夕日を受けて、立方体がきらりと光る。風がやめば、池にオブジェや周囲の夜景が水鏡のようにくっきり映る瞬間がある。

 刻々と変化するオブジェの表情が近年、写真愛好家の間で有名だ。SNSには「風のオブジェ」と題した画像投稿が相次ぐ。評判を聞いて愛知県から訪れた会社員橋本隆寛さん(28)は「美しい空や水鏡などの条件が整った時、幻想的な光景が撮れて感動した」と振り返る。

 周辺は2020年東京五輪・パラリンピック選手村の整備が進む。クレーンが立ち並ぶエリアを越えると、都心にいながらも静かな空間が広がる。

 午後7時半。オブジェはすっかり暗闇に包まれていた。

(木谷恵吏)

 晴海客船ターミナル

 1991年にオープン。「にっぽん丸」や「飛鳥Ⅱ」、イタリア船籍の「コスタ ネオロマンチカ」など国内外のクルーズ客船が寄港する。ターミナルビルの設計は、SHIBUYA109などを手がけた建築家・竹山実。最上階の展望台からは東京タワーやお台場、再開発が進む豊洲・有明地区などを見渡せる。停泊する客船を眺められる送迎デッキも。

 《アクセス》東京駅、大江戸線勝どき駅からバスで晴海埠頭下車すぐ。


ぶらり発見

ミックスサンド

 航海の神様として知られる住吉神社(TEL03・3531・3500)は月島駅から徒歩10分。8月3~6日には3年に一度の本祭りがあり、関東では珍しい八角形のみこしが晴海地区などを巡る。

 勝どき駅直結のビル1階にある総菜パン販売のパン・ムラカミ(TEL3533・7991)は創業1973年。定番のミックスサンド(写真奥、260円)や自家製ソースのスペシャルハンバーガー(同手前、250円)などが売れ筋。午前6時半~午後6時。(土)(日)(祝)休み。

(2018年6月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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