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私の描くグッとムービー

カトリーヌあやこさん(漫画家)
「蒲田行進曲」(1982年)

私の青春 つか流演劇世界

 カトリーヌあやこさん(漫画家)「蒲田行進曲」(1982年)

 

 「活動屋」の魂を描いたつかこうへいさんの戯曲を映画化した作品です。

 私は学生時代、劇団「つかこうへい事務所」の追っかけで、看板役者だった風間杜夫さんの大ファンでした。ある時、新宿の紀伊国屋ホールでつかさんに会うことができ、「誰のファン? 風間? 次回の公演に出るから楽しみにしていろよ!」と、豪快におっしゃっていたのが、この「蒲田行進曲」だったのです。

 物語の舞台は、時代劇「新選組」の撮影所。斬られ役専門の大部屋俳優ヤスは、憧れのスター銀ちゃんに妊娠した小夏を押し付けられますが、銀ちゃんのために、危険な「池田屋階段落ち」を買ってでます。

 登場人物はみんな演劇的なキャラクターです。とくに、風間さん演じる激情家で甘えん坊の銀ちゃんは、つかさん自身なのだと思います。二人芝居などの演劇的な演出が多い一方、「階段落ち」の場面では、傷だらけのヤス、手を伸ばす銀ちゃん、駆けつけた小夏のアップのカット撮りがとても映画的でした。舞台と映画のいいところが何重にも重なっている作品です。

 意外なラストを暗示する冒頭の松坂慶子さんのナレーションが心に残ります。「偽りの愛さえも本物の愛にすり替えてしまうこの世界では、昼を夜にすることなど朝飯前の出来事なのでした」。泣いて笑って、うそなのか本当なのか。もの作りの人々のプライドを鮮やかに描いた名作です。

聞き手・曽根牧子

 

  監督=深作欣二
   脚本・原作=つかこうへい
   出演=松坂慶子、風間杜夫、平田満、高見知佳、原田大二郎ほか
TVウォッチャーとしても活躍。「週刊朝日」でイラストコラム「てれてれテレビ」、「週刊ザテレビジョン」で「すちゃらかTV!」を連載中。

 


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 たくさんのご応募ありがとうございました。

(2017年1月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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