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街の十八番

浅尾拂雲堂(あさおふつうんどう)@上野

芸大生と歩んだ額縁店

元店舗の前に立つ浅尾空人さん。金色で書かれた「Le Cadre」は仏語で額縁という意味
元店舗の前に立つ浅尾空人さん。金色で書かれた「Le Cadre」は仏語で額縁という意味
元店舗の前に立つ浅尾空人さん。金色で書かれた「Le Cadre」は仏語で額縁という意味 下塗りし柄を描いた額縁の木地に、ルーターで彫りを入れている

 東京芸大上野キャンパスの近く。閑静な住宅街に入ると柱や壁が緑色に塗られたかつての店舗が現れた。現在は半分がカフェになっており、工房は約45年前に隣接の別棟に移った。元店舗には、東山魁夷(かいい)ら有名画家が芸大生時代に出入りした。中央の高さ2・5メートル、幅0・6メートルの細長い扉は、元工房から大きな額縁を搬出入するためのもので、今は使われていない。

 毛筆店として1888年に群馬県で創業。1927年に上野を拠点とし、3代目が額縁制作を始めた。豪華な額縁が主流だった中、無地でシンプルな額縁をはやらせた。4代目浅尾空人(あきひと)さん(80)、次男の5代目朋次(ともつぐ)さん(50)ら職人3人が月70~80枚の額縁を手がける。カフェを運営する長男の成巳(しげみ)さん(53)が手伝うことも。

 絵を見て、作者の話を聞き、絵の最もよい一点に視線がいくよう木地をデザインし、胡粉(ごふん)や金箔(きんぱく)を塗装。いい額縁は絵に溶け込み一体化するという。空人さんは「部屋の内装や絵が変わり、それに合わせ額縁も変わる。新しい時代に息子がどういうものを作るかだね」と話す。

(文・写真 上江洲仁美)


 ◆東京都台東区上野桜木1の5の9(TEL03・3821・3960)。午前10時~午後6時(不定休)。カフェは午前10時~午後5時半((火)休み)。上野駅。

(2018年12月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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