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山口県東部 錦帯橋から工場夜景まで

錦帯橋には、アカマツやヒノキなど6種類の木材が使われている。山の上に見えるのは岩国城
錦帯橋には、アカマツやヒノキなど6種類の木材が使われている。山の上に見えるのは岩国城
錦帯橋には、アカマツやヒノキなど6種類の木材が使われている。山の上に見えるのは岩国城 錦帯橋を渡ったところには様々なソフトクリームを販売する店がある 竹ひごと和紙で作られた「金魚ちょうちん」が家々の軒下を彩る 「金魚ちょうちん」の制作体験(約30分、900円)。筆で胴体に柄を入れる 佐川醤油店の醤油蔵の一部は資料館として公開されている 総合化学メーカー「トクヤマ」の工場夜景。周南市三笹町で間近に見られる

 本州の最西端に位置する山口県。瀬戸内海に面した街を巡りました。

文・写真/牧野祥

 山口が誇る5連アーチ橋

 東京・羽田空港から山口県岩国市の岩国錦帯橋空港まで飛行機で1時間40分。まずは空港から車で約20分ほどの錦帯橋へ向かった。錦川に架かる錦帯橋は、石垣のような橋脚に木造のアーチが五つ連なる独自の造形で知られる。全長は約193メートル、幅員は5メートル。なだらかなアーチは、ケヤキやアカマツ、ヒノキなどの木板が巧みに組み合わされてできている。その秀麗な造りは、日本三名橋にも日本三奇橋にも数えられる。「地元の誇りですね」と市観光振興課。

 錦帯橋の始まりは江戸時代にさかのぼる。初代岩国領主の吉川広家が山の上に岩国城を築城後、錦川により分断されていた城下町をつなぐため、川に橋が架けられた。だが、洪水で何度も流失したという。そこで1673年、三代吉川広嘉(ひろよし)が「流されない橋を」と願い、今と同じ形状の橋を創建した。その後も1674年と1950年に流失。現在の橋は2004年に架け替えが完了したものだ。

 往復300円のチケットを買い、階段状になった橋を渡ってみた。上からのぞくと、橋脚が上流に向けて船首のようなとがった形をしている。水の力を分散させ、激しい流れに耐えられるようにするためだそうだ。錦川では毎年6月~9月上旬、江戸時代にも行われていた鵜飼(うか)いを見ることができる。

 橋を渡った先には吉香(きっこう)公園や、山頂に立つ岩国城へ行けるロープウェーなどがある。近くの「岩国シロヘビの館」は昨年リニューアルオープンした。白く光沢のある体にルビー色の目をもつシロヘビは国指定天然記念物。昔から岩国に集中して生息しており、珍しく神秘的な姿から縁起のいい生き物とされてきた。館内では生きたシロヘビを展示している。

 金魚ちょうちんが並ぶ町並み

 続いて柳井市古市・金屋地区にある白壁の町並みを訪れた。国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたスポットだ。中世からの町割りが今も生きており、約200メートルの道の両側に江戸の商家の家並みが続く。家々の軒先にずらりと並ぶのは、県を代表する民芸品「金魚ちょうちん」。150年前、青森の「ねぶた」にヒントを得て、伝統的な木綿織物「柳井縞(じま)」の染料を用いて作り始めたとされる。

 このエリアには、金魚ちょうちん作りや柳井縞の織り体験ができる工房「やない西蔵」や、塩分少なめのまろやかな最仕込み醤油(しょうゆ)を江戸時代から作り続ける佐川醤油店の蔵がある。文具雑貨店「木阪賞文堂」には、ノートや便箋(びんせん)、タオルなど、金魚ちょうちんグッズが豊富だ。

 笠戸ひらめと工場夜景を堪能

 日が沈む頃に通ったのは、下松市の夕日岬。冬場は海面があかね色に染まるそうだ。

 夕食は、近くの「国民宿舎 大城(おおじょう)」で同市笠戸島特産の「笠戸ひらめ」のお造りなどを堪能した。笠戸ひらめは、島にある市栽培漁業センターが、アジやサンマなど季節によって種類を変えた魚のミンチと夏ミカン果汁を加えた固形のえさで育てる養殖ヒラメ。身が締まり、コリコリとした食感だった。

 最後に訪れたのは、工場夜景を「夜型観光」として薦める周南市。沿岸部には全国有数の石油化学コンビナートが広がる。同市の工場夜景の特徴は、「より身近に楽しむことができること」だという。夜景観賞スポットの一つは、JR徳山駅から徒歩約10分の晴海親水公園。湾の対岸に工場やクレーンが立ち並び、その青やピンクの光が海面に揺らめく。ここからの眺めは、日本夜景遺産に認定されている。さらに西へ進んだ三笹町では、200メートルの巨大な煙突から夜空に白煙を放つ光景を間近に見ることができる。同市では、工場夜景パンフレットで観賞スポットを8カ所紹介している。

 

 パワーチャージ

笠戸ひらめ

 肉厚でほのかな甘みがある「笠戸ひらめ」。食事だけの利用もできる「国民宿舎 大城」(TEL0833・52・0138)では、お造りやたたきがのった「ひらめの食べくらべプレート」(写真はイメージ)が付いたランチビュッフェ(1890円)を提供する。
1983年からヒラメの養殖を始めた同市。いまやブランド食材だが、約90%は市内で消費されている。

 

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(2017年6月5日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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