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アートリップ

雪まち―Aomori Reflection 
中西信洋作(青森市、新青森駅)

鏡面に広がる雪の街角

鏡面には空や雲もくっきり=谷本結利撮影
鏡面には空や雲もくっきり=谷本結利撮影
鏡面には空や雲もくっきり=谷本結利撮影 隣の青森駅では「あおもり灯りと紙のページェント」を開催中。2月5日まで

 うっすらと雪化粧した駅前広場に、鏡面のオブジェが鎮座している。近づくと、雪の町と自分の姿が映り込んだ。

 2010年、東北新幹線新青森駅開業にちなみ、市が「降雪を取り入れたアート作品」をコンペで募集。60点の応募作から選ばれた。「冬の銀世界や夏の緑など、青森の四季のダイナミックな変化を取り込みたくて鏡を用いた」と作者でアーティストの中西信洋さん(40)。ステンレス製の鏡面にストライプの線で空と森を描き、映り込む風景と重なり合うようにした。

 積雪時の耐久性を考え、デザインは極力シンプルに。直径5×高さ3メートルの空洞の円柱を縦に割り、ずらしたような形状だ。雪解け水が作品の内側にたまらないよう、接地面に1%の傾斜をつけた。広場を管轄する青森市役所道路維持課の新山(にいやま)明徳さん(54)は「雪の時期はもちろん、季節により異なる印象を楽しんでほしい」と語る。

 間の通路を歩くと、内側も鏡面が続く。カーブのせいか顔や体が縦横にゆがんで映り、市内に住む竹内康陽(やすはる)くん(4)は大はしゃぎだ。父親の康貴さん(34)も「不思議な空間だね」と鏡の世界をのぞき込んでいた。

 駅開業から7年目。昨年は北海道新幹線も開業した。四季の移ろいとともに、ますますにぎやかさを増す駅前風景を映しつづける。

(星亜里紗)

 新青森駅

 青森駅から1駅。新幹線開業までは無人駅だった。現在は東北・北海道新幹線と在来線の奥羽線が停車する。近くにある縄文集落跡「三内丸山遺跡」にちなみ、「縄文と未来の融合」をコンセプトにした地上4階建ての新駅舎を2010年に建てた。ガラスの吹き抜けの空間と、縄文時代の集落を表現した木調の外壁が特徴。駅前広場には「雪まち」のほか、津軽半島を中心に分布するヒノキアスナロがシンボルツリーとして立つ。


ぶらり発見

ワ・ラッセ

 青森駅近くのねぶたの家 ワ・ラッセ写真、TEL017・752・1311)では、青森ねぶた祭の歴史を紹介するほか、祭りで使われた大型ねぶたを常設展示している。手で触れられるコーナーも。外国人建築家が手掛けた赤い建物は、曲線のデザインが特徴だ。入場料600円。

 その隣のA-FACTORY(TEL752・1890)には、シードル(リンゴの発泡酒)の工房がある。8個の醸造タンクで「アオモリシードル スタンダード」(200ミリリットル、411円)やアップルソーダなどを製造、販売している。リンゴを使用した菓子や土産品の販売も。

(2017年1月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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