アートリップ

青空 
飯塚八朗作(大阪市西区)

動く影に歴史を重ねて

右側が京セラドーム大阪、左側に大阪市交通局=楠本涼撮影

右側が京セラドーム大阪、左側に大阪市交通局=楠本涼撮影

  • 右側が京セラドーム大阪、左側に大阪市交通局=楠本涼撮影
  • 3階玄関前の「ESFERA VIDA」(生命の球体)セバスチャン作=楠本涼撮影

 「黄色い遊具みたいなの、あるやろ。それを目指して」。アイドルのコンサートの開場を待つ女性が携帯で話している。京セラドーム大阪と大阪市交通局の間にある三本柱の黄色いオブジェが、太陽に照らされ、様々な線が絡み合った影を美しく浮かび上がらせた。

 交通局庁舎の建て替えを機に企画が持ち上がり、公募で選ばれた作品の一つ。彫刻家の飯塚八朗(1928~2008)を中心に2004年に制作した。

 モチーフは、大阪市民の足だった市電。1903(明治36)年に日本初の公営の路面電車として大阪市で開業した当時の車両をイメージした。「魚釣り電車」として親しまれた車両に取り付けられた、釣りざおのようなポールも、本作には表現されている。複雑に絡み合う影は、大阪市内を走っていた地下鉄の路線図を思わせる。「影とともに路線図も変化する。交通の歴史や発達と重ねて見て」と話すのは、息子で制作を手伝った、デザインディレクターの一朗さん(54)だ。

 通行が多い場所柄、人がくぐったり、下から空を見上げたりできるようにしたい。その思いを基に、紙で模型を数パターン作製。実際に光をあて、影の入り方やぐらつきがないかなどを検証した。色は、青空に映える黄色を選んだ。「宝箱を開けるようなわくわく感を作品に忍ばせています」

(佐藤直子)

 大阪市交通局周辺アート

 2004年、交通局庁舎の建て替え時に制作された作品は6点。1階エントランスホールには、トンネルをイメージした壁面アート「無限」、14階の食堂には、大阪市の過去、現在、未来の風景を混在させた「大阪市電百珍図」などがある。他にも、前庭には、市電のレールの間に敷かれていた敷石が置かれ、その上に「大阪市営交通100周年記念」の看板もある。

 《アクセス》地下鉄長堀鶴見緑地線、ドーム前千代崎駅から徒歩5分。


ぶらり発見

大阪のドームで盛り上がってきたで!!

 交通局の14階にある大阪市交通局食堂は一般利用可。高さ300メートルの「あべのハルカス」をはじめとした大阪市内の眺望を楽しみながら、「日替り丼」(450円)などを食べられる。午前11時~午後2時。(土)(日)(祝)休み。

 隣接する京セラドーム大阪2階の「Bs SHOP」(TEL06・6586・2036)では、香ばしいバター風味のプチフィナンシェ「大阪のドームで盛り上がってきたで!!」(15個、760円)など大阪土産を販売。ピンクのヒョウ柄のパッケージが目印。原則(月)休み。

(2017年10月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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