街の十八番

平野工芸@日光

母娘2人つなぐ日光彫

並んで作業する平野秀子さん(右)と娘の央子さん

並んで作業する平野秀子さん(右)と娘の央子さん

  • 並んで作業する平野秀子さん(右)と娘の央子さん
  • 左からお盆5千円~、花皿4500円~、プレゼントとして人気の手鏡2万5千円。商品の購入は事前に電話で問い合わせを

 江戸時代、日光東照宮造営のために集められた大工や彫刻師たちが余技で始めたという日光彫。先がカギ状になった「ひっかき刀」を用いるのが特徴で、図案には東照宮の装飾に見られる牡丹(ぼたん)や菊、桜などが多く使われる。

 国道119号から1本入った静かな路地に、母娘で営む「平野工芸」がある。朝9時から午後7時ごろまで、時にはけんかをしながら2人並んで作業する。3代目の平野秀子さん(67)は「家業だったから、子育てをしながらも自然と技術を学べたんです」。

 50年ほど前まで、日光土産の定番は日光彫のお盆だった。旧日光市には木地師、塗師、彫刻師など日光彫に関わる職人ら約400人がいたが、現在は10人ほどという。

 東日本大震災を機に観光客が減少し、「平野工芸」は東照宮近くにあった店を閉めた。現在は注文生産のほか、各地の百貨店や物産展などの実演販売に出向く。

 娘の央子(ちかこ)さん(43)は、この道に入り約15年。「産業としては難しくても、一作家として技術を発信し続けていけたら」

(文・写真 秦れんな)


 ◆栃木県日光市御幸町640の5、自宅兼工房(TEL0288・54・1014)。午前9時~午後7時。東武日光駅。

(2017年11月10日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

広告
「街の十八番」の新着記事 一覧を見る
きねや足袋@埼玉県行田市

きねや足袋@埼玉県行田市

今もなお約80棟の足袋蔵が残る埼玉県行田市。木綿の産地だったこと、中山道が近くを通ったことなどから、江戸中・後期に旅行用の足袋づくりが盛んになったとされる。

守半海苔店@大森

守半海苔店@大森

東京・大森は江戸時代、幕府から許可を得た、養殖ノリの一大生産地だった。ここから全国へ養殖の技術が広まり、今でも約50軒のノリ問屋が並ぶ。守半海苔店はその一つ。

白木屋傳(でん)兵衛@京橋

白木屋傳(でん)兵衛@京橋

白木屋傳兵衛は、1830(天保元)年に銀座で創業。その後京橋に移転し、現在まで「江戸箒(ほうき)」を作り続ける。

有職組紐(ゆうそくくみひも) 道明(どうみょう)@上野

有職組紐(ゆうそくくみひも) 道明(どうみょう)@上野

不忍池近くの繁華街に店舗がある。1652(承応元)年、糸商として創業した。2年前、鉄筋コンクリート5階建てのビルが完成。1級建築士でもある10代目の道明葵(き)一郎さん(39)が「100年続く建物に」と共同設計した。

新着コラム 一覧を見る
「天下一品」のこってり

おんなのイケ麺(めん)

滝沢カレンさん
「天下一品」のこってり

高校3年生の時、学校帰りに友だちと寄り道して入った天下一品さんで、この「こってり」を食べてから、ラーメン愛が花開きました。

「クリスピー・クリーム・ドーナツ」のオリジナル・グレーズド

オトコの別腹

増田修一朗さん
「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の
オリジナル・グレーズド

15年前、アメリカに語学留学をしていたときに店に連れて行ってもらったのが最初です。行列に並んでいると、焼きたてを配ってくれるんですよね。まず、アツアツのドーナツに衝撃。そして軟らかい!

志賀理江子「予感と夢」

美博ノート

志賀理江子「予感と夢」

1組4作家の作品から、家族や土地など身近な関係性の中に潜む「現代の物語」を読み解く本展。

書【下】 台東区立書道博物館

目利きのイチオシコレクション

書【下】 台東区立書道博物館

書聖・王羲之(おうぎし)を学ばずして大成した書家はいません。書・画・篆刻(てんこく)の大家、呉昌碩(1844~1927)もその一人。

マイページへ 新規会員登録

プレゼント応募時に1度会員登録をされると、以後はパスワードなどの入力だけでご応募いただけます。